サムスンに122億円賠償命令 (5月4日朝日新聞朝刊)
米アップルと韓国サムスン電子が、スマートフォンの技術をめぐり、お互いに特許の侵害があったと主張し争う裁判で、米カリフォルニア州連邦地裁の陪審は2日、両社がともに特許を侵害したと認定した。
米アップルと韓国サムスン電子が、スマートフォンの技術をめぐり、お互いに特許の侵害があったと主張し争う裁判で、米カリフォルニア州連邦地裁の陪審は2日、両社がともに特許を侵害したと認定した。
アップルの本社は米国にあり、サムスンの本社は韓国にあります。特許をめぐって激しい裁判闘争を展開する両者の対決は、そのまま国と国の対決というイメージにもなりそうです。今回の場合は、サムスンに122億円という巨額の賠償金が命じられました。アップルの賠償金は1640万円ですから、韓国に不利な結果が出たように見えます。
しかし、ことはそう単純ではありません。しばしば指摘されることですが、単純にサムスンを「韓国の企業」と見なすことは、現代の複雑な企業像を見誤ることにもなりかねません。
実はサムスンの株主の半分以上は、外国人です。サムスンが公表している最新データによれば、株主の54%が外国人株主です。
したがって、もしこの損害賠償が支払われ、サムスンの利益が減ることになれば、その負担を背負うのは外国人のほうが多いわけです。
こうした問題は、日本の企業についても当てはまります。試みに、外国人株主の多い日本の有名企業を並べてみましょう。
日産自動車(73%)
ドンキホーテ(64%)
オリックス(62%)
新生銀行(59%)
アデランス(58%)
大東建託(55%)
※カッコ内は外国人株主の比率
どうですか。サムスン以上に外国人株主の比率が大きな企業は、日本にもたくさんあります。日産自動車の場合は、実に株主4人のうち3人が外国人です。もはや日産を単純に「日本の企業だ」とは言いにくいかも知れません。
しかし、だからといってこのことを、「日本企業の利益が、外国人に持っていかれている」などと批判するのは適切でしょうか。「外国人株主が多い」ということは、それだけ「日本企業が海外から高く評価されている」とも言えますし、「日本国内での資金不足を外国人が補ってくれている」という側面もありそうです。
複雑な現代社会です。複眼思考で企業を見るようにしましょう。
2024/11/21 更新
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