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2014年05月14日

オリンパス、コンパクトデジタルカメラ事業縮小へ

精密機器・電子機器

オリンパス、コンデジ縮小へ 14年度経営方針 (5月10日朝日新聞朝刊)

 オリンパスは9日、コンパクトデジタルカメラ事業を大幅に縮小する方針を明らかにした。スマートフォンの内蔵カメラの高性能化が進み、コンパクトカメラ市場が押され、赤字が続いているためだ。

【目のつけどころ】 そのニュースは部分と全体、どちらの内容か

 新聞とは「ニュースを扱うメディア」です。このあまりに当然と言えることが、経済記事を読むとき、思いのほか重要になります。ポイントは「部分と全体」。つまり、そのニュースが、部分と全体どちらについての内容なのかを、適切に見分けることが不可欠なのです。

 身近なプロ野球のニュースに置き換えてみましょう。ある選手が「活躍したか」「不調だったか」と、そのチームが「勝ったか」「負けたか」。これがいわば「部分と全体」の関係です。そうです、たとえ一人の選手が大活躍しても、チームは大敗することがあります。その逆もあります。経済ニュースでも、同じことが言えるわけです。

 そこで、今回の記事です。コンパクトデジタルカメラ事業で赤字が続いているオリンパスが、販売目標を前年度の半分以下へと大幅に減らすことを伝えています。「それでも赤字脱却は難しい」と、記事は伝えています。さて、どうですか。印象としては、オリンパスはなかなか大変そうですね。会社そのものの業績も不調であるように感じそうです。

 しかし、実際は違うのです。この記事は、オリンパスが9日に発表した2013年度決算に基づいて書かれているのですが、会社「全体」の業績は、赤字どころか大変な好調。営業利益は前期比でなんと2.1倍の734億円。純利益も7割増の136億円でした。しかも次期は、さらに純利益が3.3倍の450億円になる見通しだと発表しているのです。

 どうですか。部分と全体で、かなり印象が違いますよね。ですから朝日新聞の記事も、もうちょっと紙面に余裕があるならば、こうした全体像についても触れていたと思います。しかし残念ながら、そうした内容はありませんでした。
 オリンパスがコンデジ事業を縮小させるということは、確かに大きなニュースです。だからこの「部分」に注目することは大切ですが、同時に、会社の全体像もしっかりと押さえておきたいものです。

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