業界研究ニュース 略歴

2014年04月16日

関西空港に国内最大級の貨物拠点を開設

流通

関空、貨物で巻き返し 米大手が拠点開設 (4月9日朝日新聞大阪本社版朝刊)

 今月、関西空港に大規模な貨物集荷拠点(ハブ)ができた。国内外から集めた荷物をまとめて北米などに送る貨物ハブとしては国内最大級だ。

【目のつけどころ】 東アジアでは見劣る貨物取扱量

 歴史学者の塚原哲也氏は、日本の中世形成期における「流通」の重要性を強調しています。
 平安期から鎌倉期にかけての支配体制は「荘園制度」として、よく知られています。中央(京都)にいる荘園領主が、各地にある荘園を領有する体制ですが、もしそれだけしか見ないと、「点」としての領地にしか着目できません。しかし重要なのは、このような遠隔地に散在している荘園をどのように結びつけていたのか、ということでしょう。
 中世を「土地」の制度としてだけでなく、「輸送」の制度として見ること、商品や貨幣の流通が発展した「中世」という時代の歴史像が鮮やかに浮かび上がってきます。

 さて。これってそのまま、現代企業を見るとき重要な視点だと思いませんか。たとえばコンビニやスーパーも、ぼんやりと「店舗」だけを見ている限りでは、その強さの秘密に気づきにくいでしょう。店舗と同様に、あるいは店舗以上に重要なのは、消費者の期待に応える商品を決して絶やすことなく店頭に並べる「配送システム」であることが想像できます。

 今回の記事は、日本という国全体における物流の問題点を取り上げています。関西空港に大規模な貨物集荷のハブができました。しかし、国内では最大級の施設であるこの施設も、東アジアで見ると相当に見劣りすることを、記事は問題提起しています。韓国・仁川や中国・香港と比べて、関空の貨物取扱量は非常に小さいことが分かります。
 中国や韓国との厳しい競争の中で、日本は生き残っていけるのか。現代という「乱世」における課題が示されています。

アーカイブ

業界別

月別