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2013年08月09日

ソニーって、どんな会社?

家電・総合電機

娯楽事業分離を拒否 ソニー、米ファンド要求に (8月6日朝日新聞夕刊)

 米投資ファンドのサード・ポイント(TP)がソニーに対し、映画・音楽などの娯楽事業を分離して上場するよう求めた問題で、ソニーは6日、要求を拒否する文書をTP側に送った。

【目のつけどころ】 セグメント情報を見てみよう

 ソニーは日本を代表する電機会社です。しかし、「電子機器のメーカー」とだけ見てしまうと、この会社の特徴を見誤ります。ソニーが展開する事業は、テレビや携帯電話といった家電製品のほかに、「ゲーム」「映画」「音楽」「金融」などさまざまで、こうした多角化事業こそソニーの本領だからです。

 では、いまソニーはどこで利益を上げているのでしょうか。これを自分で読み解くための資料が、会社が公表している「有価証券報告書」や「決算短信」といった資料です。IR資料などと呼ばれ、「投資家向け広報資料」とも訳されますが、就職活動をする学生にとっても必読。ぜひ、読み方を覚えましょう。

 では実際に、現状を確かめてみます。IR資料は、ソニーのホームページから誰でも入手できます。事業分野ごとの売上高や利益は、「セグメント情報」という欄に記載されています。2012年度決算では、こうでした。

・デジカメ、放送機器など……売上高7304億円(利益14億円)
・プレステなどゲーム分野……売上高7071億円(利益17億円)
・パソコン、携帯電話など……売上高12576億円(利益マイナス972億円)
・テレビ、オーディオなど……売上高9948億円(利益マイナス843億円)
・半導体素子など電子部品……売上高8486億円(利益439億円)
・映画分野……売上高7327億円(利益478億円)
・音楽分野……売上高4417億円(利益372億円)
・金融分野……売上高10077億円(利益1458億円)

 どうですか。「ソニーは電機製品メーカー」という思い込みは、見事に裏切られるでしょう。デジカメやゲームでは大きな利益を出せず、パソコンや携帯電話、テレビは赤字。稼ぎ頭になっているのは、電子部品のほかに映画・音楽・金融なのです。一番利益を出している金融部門は、ソニー生命が有名でしょう。

 さて、今回のニュースです。アメリカの投資ファンドが大量にソニー株を取得して大株主となり、いろいろと要求を突きつけてきました。その一つがこれです。
「映画・音楽などのエンターテインメント事業を分離して株式公開せよ」
 しかし、ソニーは拒否しました。投資ファンドは、株式公開によって得られる利益を使って、本業の家電事業を強化するよう求めましたが、ソニーはこれらの事業をグループ内に所有し、ソフトとハード両方の相乗効果を高める道を選んだのです。
「One Sony」(一つのソニー)
 これがソニーの経営スローガンです。

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