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2013年08月07日

円安はいいことばかりじゃない

運輸

JAL、燃料費高で増収減益 (8月1日朝日新聞朝刊)

 日本航空が31日発表した4~6月期決算は、純利益が183億円と前年同期より31.9%減った。円安による燃料費の増加や、ボーイング787型機の運航停止が影響した。本業のもうけを示す営業利益も29.8%減の220億円だった。

【目のつけどころ】 「鳥の目」「虫の目」で見よう

 ニュースを理解するには「鳥の目」と「虫の目」の両方が大切です。鳥のように高い位置から全体を俯瞰する視点と、虫のように近づいて細かく見分ける視点です。
 一つひとつの細かな出来事をきちんと「虫の目」で注目しながら、かつその出来事が全体としてどんな位置にあるかを「鳥の目」で確かめる。これができないと、日々のニュースがなにか釈然としなくなります。
 この記事で、具体的に確かめましょう。航空会社にとって、昨年から大問題となってきたボーイング787の不具合。たくさんのニュースが報じられましたが、ではこの個別の出来事が、航空会社の業績全体にはどう影響したでしょうか。

 記事には、この疑問へのひとまずの答えがあります。まず全体への影響について。
「営業利益は29.8%減った」
 これは大変な減益です。その理由は、二つあるといいます。

・円安による燃料費の増加
・ボーイング787型機の運航停止

 では、この二つのどちらが大きいのでしょうか。
 実は残念ながら、この記事は行数がとても短いため、このことが分かりやすく書かれていません。さらりと、
「787型機の運航停止で営業利益は26億円減った」
 とあるだけで、ではこの減少分が全体としてどれだけ大きいかが、すぐには分からないのです。さあ、調べてみましょう。結果はこうです。

・営業利益の減少は、計94億円でした。
・円安によるコスト増が、159億円もありました。

 はい、そうなのです。あれだけ騒いだボーイング787の運航停止問題ですが、航空会社への影響で言えば、円安による燃料費の負担増のほうが何倍も深刻でした。これは3月までの決算についても同じです。

 いかがですか。ちなみに、こうした為替レートの話題は、しばしば「円高のデメリット」ばかりが強調され、円安のデメリットは注目されない傾向があります。鳥の目と、虫の目。さらには冷静な目を加え、ニュースを見ていきましょう。

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