LCC2年目の一手 (7月31日朝日新聞朝刊)
ANAホールディングスは30日、アジア最大の格安航空(LCC)との提携を解消した「エアアジア・ジャパン」を、12月末から新ブランドで運航すると発表した。完全子会社化とあわせたテコ入れだ。
ANAホールディングスは30日、アジア最大の格安航空(LCC)との提携を解消した「エアアジア・ジャパン」を、12月末から新ブランドで運航すると発表した。完全子会社化とあわせたテコ入れだ。
興味深いデータが、さらりと盛り込まれた記事です。かといって、記事では、それを強調しているわけではありません。自分で見つけ出し、自分なりに知識や関心を広げていく。新聞を読む楽しさの一つです。
興味深いデータとは、飛行機の遅延率。こんなデータがあることを、知っていましたか? 実はこれ、国土交通省が定期的に発表している公式データ。航空会社ごとに「どれだけ定時運航が出来たか」という記録ですから、会社にとっては恐ろしい通知表のようなものでしょう。そして、この遅延率は会社によって大きく違います。
この記事によれば、安さを売りにしているLCC(ローコストキャリア=格安航空会社)の遅延率は深刻です。出発が15分以上遅れる便の割合が、ピーチとジェットスターで2割近くありました。エアアジアでは35%ですから、実に3便に1便が定時運航できていない状態です。
ではこの数字が、ほかの航空会社と比べてどれだけ大きいかを確かめてみましょう。元データは、自分で簡単に入手できます。国土交通省のホームページに「航空輸送サービスに係る情報公開」があり、ここで「特定本邦航空運送事業者に係る情報」を取り寄せれば、比較できます。
それによると、例えばJAL(日本航空)の遅延率は5%、ANA(全日本空輸)は6%でした。LCCの遅延率が、文字通り「桁違いに大きい」ことが分かります。
さあ、これをどう考えるべきでしょう? 鉄道などの日本の交通機関は、定時運行をする能力が極めて高いことが評価されていますから、LCCの現状はとても満足できるレベルではないと言えそうですが、どうでしょうか。
ただし、そのことについて新聞が特段の指摘をしているわけではありません。これは決して航空会社に遠慮をしているわけはなく、「公正な事実を提供し、判断は読者の自由にゆだねる」という基本的な立場に徹しているまでです。
もちろんLCCには、安価であるという最大のメリットがあります。ではこの価格と遅延率のバランスをどう見るべきか。自分で検討してみましょう。
2024/11/21 更新
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