<物価ウオッチ>コンビニ値下げの波 (7月31日朝日新聞朝刊)
安売りとは一線を画してきたコンビニに、値下げ競争の波が押し寄せている。長引くデフレで消費者に低価格志向がすっかり定着し、値下げで集客をはかるためだ。盛り上がらない個人消費を背景に、日用品では物価が上がりにくくなっている。
安売りとは一線を画してきたコンビニに、値下げ競争の波が押し寄せている。長引くデフレで消費者に低価格志向がすっかり定着し、値下げで集客をはかるためだ。盛り上がらない個人消費を背景に、日用品では物価が上がりにくくなっている。
物価に注目が集まっています。昨年末に発足した第2次安倍内閣は「デフレ脱却」を打ち出し、日本銀行は過去に前例がないほどの大胆な金融緩和などによってインフレ誘導を図っています。
実際、6月の消費者物価指数は1年2カ月ぶりにプラスに転換。これを機に朝日新聞では「物価」についての連続記事をスタートしました。「物価ウオッチ」のマーク(朝日新聞社内では「ワッペン」と呼んでいます)が目印です。
今回の記事は、その3回目。そもそも「値上げ」に注目して始まったシリーズ記事ですが、この回では反対に「値下げ」が焦点です。ローソン、セブンーイレブン、ファミリーマートなどのコンビニで、日用品を中心に値下げの動きがあることを伝えています。こうして見ると、政府の思惑通りに「インフレによる景気回復」という流れが生じるのか、疑問を感じることでしょう。
ちなみに、この3カ月間の朝日新聞東京本社版の記事で、「値上げ」「値下げ」のどちらが多かったのか数えてみました。結果は、
・「値上げ」の見出しがある記事=43件
・「値下げ」の見出しがある記事=17件
でした。件数で見ても「値上げ優勢」ですが、値下げも意外と少なくありません。
物価は、景気と密接に結びつく重要な指標です。ちなみにこの連続記事のスタートでは、記者がこう問題提起しています。
「これから賃金も上がって、デフレから抜け出せるのか。あるいは、家計が潤わないまま必需品が値上がりする『悪い物価上昇』が続くのか」
そうです、インフレが必ずしも景気回復につながるかどうかは、現時点では不明です。もし物価が上昇しても、景気が回復しなければ(つまり給与が増えたり、失業率が下がったりしなければ)、生活はむしろ苦しくなります。
とりわけコンビニは、普段の生活に密着した小売り業者。そこでの商品の価格がこれからどう動いていくのか。大いに注目されます。
2024/11/23 更新
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