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2013年07月29日

「アップルショック」はショックじゃない!?

精密機器・電子機器

アップル失速鮮明 (7月25日朝日新聞朝刊)

 米アップルが23日発表した今年4~6月期決算は、純利益が前年同期比22%減の69億ドル(約6870億円)だった。2四半期連続の減益決算で、業績の伸び悩みがはっきりした。

【目のつけどころ】 決算発表のどこを見るか

 アップルの2013年4~6月期決算の「不調」を、メディアが一斉に報じています。「アップル失速鮮明」(朝日新聞)、「高価格スマホ不振」(日本経済新聞)、「2四半期連続減益」(読売新聞)……。どれもネガティブな内容ばかり。アップルは、そんなに大変な状態なのでしょうか?

 どうか、気をつけてください。新聞は「ニュース」を伝える媒体です。アップルの決算発表に対して、
「純利益が大きく下がっている」
「中国市場で売れなくなっている」
「高価格スマホが、低価格攻勢にさらされている」
 といった新しい特徴(ニュース)に、メディアが注目するのは当然のことです。それらが、アップルという会社の今後を見通すためのカギになるかもしれないのですから。

 しかし、同時にこうも考えてみましょう。
「では今のアップルが、全体として大変な状態なのか」
 そうです。記事をよく注意して読めば、決してそうではないことも理解できます。具体的に挙げてみましょう。
・純利益は(減少したとはいえ)6900億円もある
売上高は(中国では減ったが)4~6月期として過去最高を更新した
 そして、何よりもアップルの収益の柱であるスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」について見れは、なんと販売台数は20%も伸びているのです。全世界で3120万台を売り上げ、4~6月期として過去最高の台数でした。

 どうですか。かなり印象が違ってきますよね。こうした数字を見れば逆に、
「アップル絶好調」
 という記事だって、書けそうです。
 ちなみに、アップルに部品などを供給している村田製作所やミツミといった日本のメーカーの株価は、この決算の発表後もほとんどすべて上昇しています。
 ものごとを多角的・複眼的に見る。そのことの大切さを、今回のニュースは伝えているとも言えそうです。

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