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2013年07月24日

天職に出合いたい

建設・不動産・住宅

1日に選別する木材1000本 (7月22日朝日新聞夕刊)

 住宅部材メーカーに勤める斉藤友広さん(41)は、長さ4・27メートルの木材を手で左に回しながら、表面に視線を2往復。5秒ほどの間に、住宅用として使える木材かを見極める。チェックしているのは、規格に合わないふしや割れ。赤いチョークで欠点をマークすると、脇にある機械が、その部分だけを切って次の工程に送る。

【目のつけどころ】 天職とは

 社会学者のマックス・ウェーバーは、資本主義の精神の起源をプロテスタンティズムに求めました。
「労働が絶対的な自己目的(天職)であるように励もうとする心情」
 これこそが、近代社会の支える土台だというのです。天職とは「神から与えられた自分の能力」であり、これを最大限に発揮することは、人としての義務だ。この倫理観が、今日の資本主義社会を築いていると、ウェーバーは考えました。

 朝日新聞の月曜夕刊に掲載される「凄腕つとめにん」は、企業のなかで自分の仕事に邁進する人たちの懸命な姿を伝える人気コーナーです。自らの責務をまさに「天職」ととらえ、研鑽を積む企業人たち。就活生には必読のページです。ほとばしるような熱い思いを、存分に受け止めてください。

 今回、登場したのは、住宅部材メーカーの三井ホームコンポーネントに勤める斉藤さんです。住宅建築に使われる木材の厚みや幅を、手で触るだけでミリ単位で正確に判別できるといいます。すばらしい技量ですね。

 斉藤さんは、住宅用資材の鑑定眼を競う年1回の国内大会で、2006年に優勝したそうです。挑戦すること5回。
「俺にできないわけがない」
 そんな思いで勉強と練習を重ね、ついに栄冠を手にしました。

 働くということは、なんと多くの喜びと苦労に満ちていることでしょうか。明治の歌人、石川啄木は詠みました。
  こころよく我にはたらく仕事あれ 
   それを仕遂げて死なむと思ふ
 現代もまた、就職難の厳しい時代です。啄木の歌こそは、いま多くの人たちが心に抱いている思いそのものではないでしょうか。

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