業界研究ニュース 略歴

2020年02月28日

大化けするか、消えるか…赤字新興企業の見極めは?【業界研究ニュース】

通信・インターネット関連

 スマホ決済草分けの「Origami(オリガミ)」がフリマアプリで知られるメルカリ買収されました。買収価格は「1株1円」という安さだったようです。社員は大幅に減らされる見込みです。オリガミは400億円を超す企業価値があるとされたこともありましたが、売り上げをはるかに上回る赤字を計上していました。IT企業などの新興企業の中には、赤字が続いていても将来性を見込まれて世間から大きな企業価値を与えられるケースがあります。ただ、その価値は将来性という神のみぞ知る領域が支えになっていますので、オリガミのように消えてなくなる会社も少なくありません。もちろん大化けしてさらに企業価値が上がっていく会社もあります。将来性を根拠に世間からもてはやされているという理由だけで志望するとリスクがあります。こうした企業ほど事前の研究が必要になります。

(写真は、オリガミとメルカリのアプリ)

スマホ決済の草分け

 オリガミは2015年10月にスマホ決済「Origami Pay」を始めました。店舗で支払いに使える決済手段としては2016年開始の「LINE Pay」や2018年開始の「Pay Pay」よりも早く、日本のスマホ決済の草分けといえる存在でした。しかし、ここにきてソフトバンクヤフー系のPayPayやLINE Payが資金力にものを言わせて派手な還元キャンペーンを繰り広げるなか、資金力の乏しいオリガミは取り残されていました。

(写真は、「ペイペイモール」と「ペイペイフリマ」開始の記者会見に登場した〈左から〉タレントの宮川大輔さん、ヤフーの小沢隆生COO、タレントのゆりやんレトリィバァさん=2019年10月28日、東京都渋谷区)

417億円の価値がついたことも

 オリガミの2018年12月期の売上高は2億2200万円なのに対し、営業損益は25億4400万円の赤字でした。つまり、売り上げの10倍以上の支出があったわけです。オリガミは六本木ヒルズに本社を置いていましたが、その家賃だけで売上高を大きく上回っていたと言います。ただ、こういう経営内容でもスマホ決済の草分けとしての将来性を評価する声はあり、2019年11月に公表された日本経済新聞社の「NEXTユニコーン調査」ではオリガミの企業価値を417億円とはじいていました。しかし、オリガミはメルペイを持つメルカリに2月25日付で買収されました。売値は1株1円と言われており、それなら発行株式すべてを取得してもメルカリはわずか259万円でオリガミを買えたことになります。

(写真は、オリガミ本社が入る六本木ヒルズ森タワー=東京都港区)

乱立気味から整理の段階へ

 スマホ決済の業界は、日本ではLINEZホールディングス(旧ヤフー)経営統合し、Pay PayとLINE Payのグループが主導権を握りつつあります。オリガミを買収したメルカリはNTTドコモと連携することにしており、楽天楽天ペイKDDI(au)と連携します。乱立気味だった一時より競争関係が整理される段階に入っています。

(写真は、経営統合合意の記者会見で写真撮影に応じるZホールディングスの川辺健太郎社長〈左〉とLINEの出沢剛社長=2019年11月18日、東京都港区)

赤字の新興企業の見分け方

 オリガミのように赤字なのに価値が高い新興企業は少なくありません。アメリカのツイッターフェイスブックアマゾンテスラなどの成長企業も長い間赤字でした。しかし、いったん黒字転換すると、あとは黒字を増やし続けるようになります。社員や投資家からすると、赤字が続いていても将来への期待が持てるわけです。ただ、赤字が続く企業がすべてこうした軌跡をたどるわけではありません。オリガミだけでなく、期待されながらも消えていった新興企業はたくさんあります。大化けするか、消えていくかの見極めは簡単ではありませんが、事業内容が本当に新しいか、経営者にリーダーシップや人望があるか、社風に無理がないか、などは目安になると思います。

◆人気企業に勤める女性社員のインタビューなど、「なりたい自分」になるための情報満載。私らしさを探す就活サイト「Will活」はこちらから。

※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから

アーカイブ

業界別

月別