アマゾンジャパンが国内で正社員1000人を新規に採用すると発表しました。アマゾンは通販事業に加えて、インターネット決済やスマートスピーカーなどに力を入れており、そうした事業に適した技術系社員を中心に採用することにしています。新卒だけでなく転職組も狙っています。国内のネット通販事業は楽天、ヤフー、アマゾンジャパンが3強を形成しています。これからもネット通販の需要は伸びると思われますが、商品を絞り込んだサイトやフリーマーケットサイトも伸びており、競争は激しくなっています。そのため、業容の拡大に向かっていて、優秀な人材の確保は至上命題になっています。激しく動いている業界ですから、10年後、20年後どうなっているかわかりませんが、人の出入りの多い活気のある職場がいいと思う人には向いているでしょう。
(写真は、スマートスピーカー「エコー」を披露するアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長=中央)
ネット通販が百貨店を抜く
楽天、ヤフー、アマゾンジャパンの3社の2017年の販売額は約6兆7000億円に達し、5兆9532億円だった百貨店の売上高を抜きました。売上高の最も多いスーパー、2番目に多いコンビニとは、まだ倍近い差がありますが、ネット通販は毎年2ケタの伸びを示していますので、このままならあと数年でコンビニやスーパーをとらえる可能性があります。
(写真は、米シアトルの「アマゾンgo」の店舗。レジがなく、スマホのアプリで決済する)
食品分野での競争激しく
ネット通販業界は最近、生鮮食品に力を入れています。アマゾンは2017年4月に「アマゾンフレッシュ」を始めました。品ぞろえは17万点で、深夜でも受け取りが可能です。楽天やヤフーはスーパーと提携して生鮮食品通販に参入しています。危機感を持ったセブン‐イレブンはスマホで注文すると最短2時間で食品や日用品を届けるネットコンビニを始めます。食品分野での競争が激しくなっています。
(写真は、川崎市にある「アマゾンフレッシュ」の倉庫)
アマゾンはスマートスピーカーにも力
また、アマゾンはスマートスピーカーの販売に力を入れ始めています。スマートスピーカーは2014年にアマゾンが発売した「エコー」が最初です。話しかけると答えてくれたり、音楽を再生してくれたり、ニュースを読み上げたり、スケジュール管理をしてくれたりします。世界では「便利で面白い」とじわじわと人気が出て、日本でも昨年から爆発的に売れ始めています。今、スマートスピーカーの半分近くのシェアをアマゾンが占めていますが、グーグルやアリババも猛烈に追い上げています。値段は1万円台のものも多く手頃なため、まだまだ大きくなりそうな市場です。アマゾンがとりわけこの商品に力を入れるのは成長性に期待しているからです。
(写真は、アマゾンのスマートスピーカー「エコー」)
人手不足が最大の悩み
伸び行く業界にも悩みはあります。今最大の悩みは、人手不足です。特に運送段階でのドライバー不足により配送料の値上げが必要になっています。アマゾンジャパンは3月に独占禁止法違反容疑で公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。アマゾンが販売時に値引いた額の負担をあとから「協力金」としてメーカーに求めていた疑いです。この背景として配送費の高騰でコストが増えていることがあるとみられています。人手不足が解消する見込みは当面なく、売り上げ増や利益増のネックになる可能性があります。
成長する業界は忙しい
ネット通販業界のように新しくて成長している業界に属する会社ほど仕事が忙しくなるのが一般的です。仕事は増えるのに人の質、量が追いつかないからです。一方、古くからある業界に属する会社は、仕事と人のバランスがよく、比較的ゆとりをもって仕事ができる場合が多いと思います。もちろん、若い会社は大きくなると給与などの待遇がよくなることにつながりますし、若くして大きな仕事を任されることも多くなります。どちらがいいのかは、人それぞれの人生観に関わることかもしれません。