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2018年04月18日

まだまだ伸びるフリマアプリ業界に注目!

通信・インターネット関連

 フリーマーケットアプリのメルカリが伸びています。国内の出品数は1日100
万点以上、月間の流通総額は100億円を超えます。創業してわずか5年でここまで伸びているのは、驚きです。今年中には上場するとみられています。中古品の売買市場は昔からありますが、手軽なスマホアプリの登場で市場規模が大きくなっています。家の中で眠っている「価値ある不用品」はいくらでもありますので、さらに成長するのは間違いなさそうです。中古品売買は、出品者にとっては捨てるしかなったものがお金になり、購入者にとっては欲しいものが格安で手に入ります。持続可能な循環型社会を目指すには望ましいビジネスモデルです。ただ、新品が売れなくなると経済はどうなるのだろうという心配もよぎります。フリマアプリは、これからの社会に大きな影響を及ぼす注目すべき業界だと思います。

(写真は、シェアサービスを始めた自転車に乗るメルカリの小泉文明社長=左)

中古品市場は1.9兆円

 フリマアプリは、メルカリが頭抜けて大きな存在になっていますが、ほかにも楽天系のラクマなどがあります。これまで店舗で中古品の売買をしていたコメ兵もブランド品に特化したフリマアプリを始めました。ネットを使った中古品売買としては、ヤフオクに代表されるオークションもありますが、フリマは原則的に出品者が値段を決める点などが違い、オークションとは区別されています。経済産業省の調査によると、2016年のネット経由の個人間取引(クルマ、バイク除く)はフリマが3052億円、個人間オークションが3458億円に上っています。事業者による中古品のネット売買が約2300億円、店舗での中古品の販売が約1兆円ありますので、日本の中古品市場は1.9兆円になります。また、過去1年間に不要となった製品(クルマ、バイク除く)の推定価値は7.6兆円と見込んでいます。つまり、中古品市場はまだまだ大きくなる可能性があるということになります。

(写真は、メルカリで取引されている子ども服)

時価総額は2000億円?

 メルカリは昨年末で累計ダウンロード数が国内で6000万を超えました。アメリカとイギリスにも進出していて日米英3カ国では1億を超えています。今年6月には東証マザーズに上場するとみられています。成長力と高収益体質が評価されて、時価総額はいきなり2000億円を超えるのではないかといわれています。

 メルカリの強みは、何といっても出品数が多いことです。1日に100万点以上も出品されるとなると、購入者にとっては選択が広がることになります。また、昨年末から始めた即時買い取りも利用者を増やしています。買い手が現れなくても、メルカリがすぐに買ってくれる仕組みで、買い取り価格が安くてもすぐにお金のほしい人にとっては便利な仕組みです。

(写真は、「メルカリNOW」の取引画面=メルカリ提供)

経済にも税収にもマイナスの影響

 個人間の中古品売買が広がることは、今のところ新品市場に大きな影響は与えていません。中古で売れる値段の分だけ新品の値段が安くなると考えて新品を買う人もいるようで、かえって新品の売れ行きにいい影響を与えているという人もいます。ただ、必要なものを中古ですますという側面は間違いなくあり、長い目で見ればメーカーや流通にマイナスの影響を与える可能性があります。また、個人間の売買に消費税はかかりません。売った側の所得も捕捉が難しいため所得税の徴収も難しいと思われます。国の税収にもマイナスの影響がありそうです。

(写真は、撮影後すぐに表示された買い取りの査定価格)

新品から中古へ、モノからコトへ

 フリマは資源の有効活用になる合理的なビジネスモデルですが、経済成長は無駄な消費によってもたらされるというのも事実です。シェアエコノミーといわれる共有経済につきものの難題です。でも、新品から中古へ、モノからコトへといった世の中の流れは止められないでしょう。会社選びには、こうした流れがあることを押さえておきましょう。

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