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2018年03月28日

セブン追って「ローソン銀行」 銀行業でコンビニ激突!

流通

 コンビニ大手のローソンが、銀行業の免許取得に向けた予備審査を金融庁に申請すると発表しました。2018年度中の開業を目指しています。コンビニ業界では、セブン-イレブンが2001年にセブン銀行を開業し、大きな利益を生み出しています。ローソンも自前の銀行を持つことでセブンとの収益力の差を縮めようという狙いです。また、大手3社のひとつであるファミリーマートも銀行業参入への意欲を示しており、銀行業を巡るコンビニの競争が激しくなりそうな気配です。コンビニ業界の国内市場は頭打ちになっていますが、金融事業などの分野はまだ開拓の余地があります。独走してきたセブンをローソンやファミマがどこまで追い上げられるか、注目です。

(写真は、東京都内のローソンの店頭)

セブンに利益で離される2社

 コンビニ業界は、大手3社の寡占化が進んでいます。2017年8月中間決算で3社を比較してみると、売上高、営業利益、店舗数ともセブンがトップです。売上高と店舗数の2位はファミマでローソンが3位、営業利益はローソンが2位でファミマが3位となっています。セブンの強さは営業利益に表れていて、2位のローソンの約4倍となっています。ただ、2017年の大手コンビニの売上高は既存店ベースで前年比0.3%減って3年ぶりのマイナスになっており、コンビニ全体としては成熟した市場になりつつあると言えそうです。

(写真は、サークルKから転換し新規開店した香川県内のファミリーマート)

銀行免許がなくもうからない

 セブンの強さは銀行業にも表れています。2万を超えるATMを全国の店舗網に配置し、セブン銀行のお客さんが入出金で使う際に発生する手数料などで501億円(2017年2月期)もの営業利益を稼いでいます。ローソンも店舗にATMは置いていますが、銀行業の免許がないため、ATM管理会社として他の金融機関に手数料を払わなければならず、利益は大きくありません。ファミマも同様で、小さな利益しか出せていません。ローソンが銀行業への参入を決めたのは、セブンのように利益を大きくすることを狙っています。加えて、お客さんに独自の金融サービスを提供することができるようにして、コンビニ業全体としての相乗効果も期待しています。

(写真は、岩手県内にあるセブン銀行のATM)

地方銀行に影響出る可能性

 銀行業界は、日本銀行のマイナス金利政策によって、利ざやが小さくなり厳しい経営環境が続いています。特に地方銀行は貸出先が少なく、低金利の影響を大きく受けています。そのため、合併や統合を模索したり、行員のリストラ策を検討したりしています。そうした中で、ローソンが銀行業に参入すると、これまで得られていた手数料が得られなくなるなどのマイナスの影響が考えられます。コンビニの競争激化の余波を地方銀行がかぶる可能性があります。

成長のため追随は当然

 コンビニ業界は、これまで店舗数を増やすことと提供するサービスを増やすことで成長してきました。ただ、人口が減る中、店舗数は上限に近づいています。これからの成長のためには、無人店舗を増やすなどのコスト削減策を進めながら、新しいサービスの提供に挑戦する必要があります。ローソンやファミマとしては、セブン銀行という新しいサービスの成功例があるのですから、やや遅まきながらではありますが、追随するのは当然だと考えられます。

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