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2018年02月21日

マイナス金利に苦しむ銀行…安定から変革の業界へ

銀行・証券・保険

 銀行業界が徐々に苦しくなっています。長い目で見れば、金融工学の発達で今のような人海戦術が通用しなくなる時代が来るという危機感があり、短期的には日本銀行のマイナス金利政策で利益を出しにくくなっていることがあります。マイナス金利政策の影響は特に地方銀行に大きく、合併や統合などの再編計画があちこちで動き出しています。一方、メガバンクは将来に向けてリストラにかじをきりつつあります。今のように多くの店舗を持ってたくさんの行員がお客さんの相手をするような業態ではなく、ネット上を数字が行き交う業態になっていくことをにらみ、店舗の統廃合や人員の削減を進めようとしているのです。銀行が社会にとって必要な業界であることは将来も変わりませんが、仕事の中身は大きく変わりそうです。就活生は安定の業界から変革の業界に銀行の認識を変えないといけません。

(写真は、メガバンクの看板です)

地銀の合併、再編を促す

 目先の厳しさの原因は、日銀のマイナス金利政策です。日銀はデフレ脱却が進まないため、2016年2月から日銀の当座預金口座にある銀行の預金の一部にマイナス金利をつけ始めました。銀行からすると預けておけば損をするので、その分を貸し出しに回し、お金の価値が落ちて物価が上がるというシナリオです。ただ、シナリオ通りに物価は上がりませんでした。出た影響は、企業への貸し出し金利が一段と下がり、預金金利との利ざやが縮むという結果でした。銀行は利ざやで稼いでいますので、利益が減ることになり、この傾向は今も続いています。特に有力な貸出先の少ない地方銀行への影響が大きく、金融庁は地方銀行の合併、再編を促し、実際そうした動きが活発になっています。

(写真は、日銀総裁の黒田東彦総裁。任期5年満了の今年4月以降も続投する見通しになった)

金融新時代をにらんだリストラ

 ただ、マイナス金利政策はどこかで終わりますが、より深刻なのは人工知能(AI)の活用や仮想通貨の広がりによる金融環境の根本的な変化です。人々はスマートフォンで自分のお金を管理し、仮想通貨で送金し、クラウドファンディングでお金を集める。そんな時代はすぐそこにきています。銀行が介在しない新しいお金の流れがグローバルにできつつあるのです。そうした時代に駅前ごとに店舗を構え、たくさんの行員がお客さんの対応におわれている今の銀行は、無駄の塊になりそうです。こうしたことを見越して、昨年後半、みずほ銀行は19000人、三菱UFJ銀行は9500人、三井住友銀行は4000人の業務削減をすることを発表しました。金融新時代への対応をにらんだリストラ策でした。

(写真は、仮想通貨の技術を使った三菱UFJの決済システムを実証実験しているところ。スマホアプリで仮想通貨の口座を作り、銀行口座のお金を仮想コインに変換して支払う)

信用はブロックチェーンで

 様々な業界が、インターネットによる変革を迫られています。第4次産業革命と言われるのはまさにそのとおりです。銀行業界もそのひとつですが、変革が与えるインパクトは自動車業界などと並んでかなり大きい部類に入るとみられています。信用を武器に巨額のお金を預かったり貸したり投資したりしてきた銀行の仕事は、銀行でなければできないのかと思わせる時代になっています。信用ですら、ブロックチェーンという仮想通貨の中核技術が肩代わりしようとしています。将来の具体的な姿を描くことはできませんが、10年後も今のままではないということだけははっきりしています。

これからおもしろそう?

 大きな環境変化が始まっている業界を就職先としてどう考えるのかは、難しいところです。これからおもしろそうだと考えるか、これから大変そうだと考えるか、で違ってきます。私は、これからおもしろそうだと考えた方がいいように思います。変化はおもしろいはずで、刺激のある日々になります。また、これまでのやり方に染まっていない若い力が求められるのでしょうから、若い人にはチャンスです。もうひとつ加えれば、十年一日のような仕事よりも、新しいことに右往左往するような経験を積むことは、自分の財産になります。転職市場でも価値を持つのではないでしょうか。

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