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2017年12月27日

逆風でも激戦! 出版業界の最新情報

マスコミ・出版・印刷

 出版業界は長く縮小傾向が続いています。人々のインターネットに費やす時間が増えるにつれ、紙の本や雑誌を読む時間が減っています。電子出版物が紙の減少をカバーするといいのですが、まだカバーしきれてはいません。それにほぼ国内限定の業界ですので、人口減少や高齢化も逆風になっています。業界はあの手この手で地盤沈下を防ごうと躍起です。従来は休みだった年末年始に本の新刊や週刊誌を発行するのも、少しでも売り上げを伸ばそうという試みです。出版業界は昔から本や雑誌の好きな学生に人気の業界です。業界自体が小さいので採用数は少なく、縮小気味の今でも激戦です。出版の仕事にやりがいを求めている人は、激戦にしり込みしないで挑戦してみてはどうでしょうか。

(写真は、書店向けの販促ポスターなどを封筒に入れる日本雑誌協会の職員ら=2017年12月20日撮影)

コミック誌の落ち込みが大きい

 紙の本や雑誌の売り上げは1996年がピークで、その後減り続けています。出版科学研究所の調査では、今年の紙の書籍と雑誌の推定販売金額は1兆3700億円で、96年の52%まで縮小する見通しです。落ち込みが大きいのは雑誌で、前年比10%減。中でも、少年・少女コミック誌の落ち幅が大きく、若い世代が紙のコミック誌を買わなくなっている傾向がはっきり表れています。一般の週刊誌、月刊誌も減っていて、雑誌は20年連続の落ち込みです。書籍は比較的落ち込みが小さくて、前年比3%減にとどまっています。それでも書籍も11年連続の減少になります。

(写真は、東京都内のある書店の雑誌売り場)

電子出版でカバーしきれず

 電子出版は増えています。毎年20%前後の伸びを示しています。ただ、出版科学研究所によると、2017年上半期で出版販売額全体に占める比率は12%と紙に比べるとまだまだ小さい存在です。しかも、電子出版の7~8割はコミックの売り上げと推計されていて、本や一般雑誌の電子出版は予想されたほど伸びていません。このため、コミックでは紙の落ち込みを電子出版がほぼカバーしていますが、それ以外の紙の出版物の落ち込みをカバーすることはできず、出版業界全体としては縮小傾向がなかなか止まらないわけです。

(写真は、小学館の漫画アプリ「マンガワン」のトップページ)

出す回数増やして売り上げ増を

 出版業界では、年末年始には出版物を発行しないのが慣行でした。たとえば、週刊誌は、年末年始にかかる直前に発行する号を合併号として、年末年始の号を出さずに1週間休みとしてきました。少し前までは、春のゴールデンウィークと夏のお盆休みも同じように合併号を出して1週休みにしていました。しかし、売り上げを伸ばすには出す回数を増やした方がいいという判断があり、お盆休みにも休まず出す週刊誌が表れ、昨年あたりからは年末年始にも休まない週刊誌が出てきました。少しでも売れる機会があれば逃すまいとする懸命な姿勢が見えます。

(写真は、週刊誌で慣行となってきた夏と冬の「合併号」の例)

中小企業が大半で採用数少ない

 出版業界は、出版物を作る出版社、問屋である出版取り次ぎ会社、出版物を売る書店で成り立っています。いずれも、会社の数が多いのが特徴です。出版社は3400社程度、取り次ぎ会社は21社程度、書店は1万2500店程度あります。これだけの数の会社や店が、紙と電子あわせて1兆6500億円程度の市場規模をとりあっています。つまり、出版業界は中小企業が大半で、大手といっても他業界の大手ほど売り上げ規模や社員数は多くありません。名の知れた大手出版会社でも採用数はそれほど多くなく、そこにたくさんの志望者が押し寄せますので、倍率は高くなります。新卒で採用されるのは簡単ではありません。ただ、業界内での人の移動はかなりあります。いったん業界に入って仕事を覚えれば、業界内転職の機会もあります。出版の仕事に就きたくて仕方がない人なら、大手だけにこだわらないほうがいいかもしれません。

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