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2017年09月27日

楽天が格安スマホ3位に…航空、電力と同じ構図

通信・インターネット関連

格安スマホ、再編の動き

 格安スマートフォンシェア4位の楽天が6位の「フリーテル」を買収すると発表しました。これにより楽天は3位に浮上します。通信大手の携帯電話料金が高止まりする中、ここ2、3年で格安スマホ業界が急成長しました。特に「独立系」といわれる格安スマホ会社が大手を脅かしてきました。しかし、今回の買収の舞台裏をのぞくと、独立系が壁にぶつかりつつある状況が見えてきます。格安スマホ業界の再編はさらに進む可能性があります。
2017年9月26日朝日新聞デジタル

(写真は、東京都内の楽天モバイルの店舗です=楽天提供)

守る大手系と攻める独立系

 格安スマホ業界は、大手系と独立系に分けられます。大手系とは、ソフトバンク、KDDI、NTTの通信大手3社の系列にある会社です。現在、格安スマホシェア1位のワイモバイルはソフトバンク系、2位のOCNモバイルワンはNTT系です。KDDIは7位のビッグローブと8位のUQモバイルを系列にしています。一方で独立系は、楽天モバイルとフリーテルのほか、現在3位のIIJミオ、5位のマイネオなどがあります。これまでは攻める独立系、守る大手系というイメージがありました。
(グラフは、現在の格安スマホのシェア順位です)

大手が反撃、独立系に壁

 今回楽天に買収されるフリーテルは、格安スマホの代名詞的な存在でした。しかし、実態は赤字続きだったようで今回の買収額は5億円強にすぎませんでした。独立系は通信大手から回線を借りて事業をしています。回線の料金が大幅に下がったことで、通信料金を安くすることができたため、急成長し、今では国内のスマホの1割以上を占めるようになっています。しかし、ここにきて回線料金が下げ止まっています。料金は大手が原価と利潤を算定し総務省が承認しますが、十分下がったとの判断なのか、少しずつしか下がらなくなりました。加えて、大手系が大々的に広告を打つなどの反撃を始めました。こうしたことにより、独立系が壁にぶつかっているのです。
(写真は、大手家電量販店内のフリーテルの売り場です=プラスワン・マーケティング提供)

航空や電力でも見られた流れ

 この流れは、規制緩和された業界でよく見られるものです。たとえば、航空業界は日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)の大手の寡占を防ぐため、格安航空会社の参入などを認めてきました。初めのうちは格安航空が大手の旅客を奪って攻勢をかけるのですが、大手は自前の格安航空(LCC)をつくったり、既存の格安航空を系列化したりして反撃しました。料金は一時的に大幅に下がったのですが、大手の反撃が功を奏した頃には、下げ止まることになりました。電力自由化でも似た構図がありました。昨年4月の自由化以降、新しい電力会社がたくさん参入してきました。ただ、なかなか大手電力会社のシェアを奪い取るところまではいかず、大手に買収されるところも出ています。
(写真は、ANA傘下の格安航空会社ピーチ・アビエーションの飛行機です)

「だから大手」でいいの?

 通信や航空や電力は完全な自由化が難しい業界です。通信や電力なら「線」が必要です。その線は既存の大手が所有していて、貸し出す場合も大手が料金などを決めることができます。航空業界は空港の発着回数に限りがあるため、新規参入会社も自由に路線を決めることはできません。結局、大手に決定的なダメージを与えることはなかなかできないわけです。就活生にしてみれば「だから大手を志望しよう」となるかもしれません。それは一般的には間違いではありません。でも、既得権を持っている大会社だから安心だなどと思っていると、あっという間に斜陽になることもあります。記事中に出るソフトバンクも楽天も、20年ほど前はまだ海のものとも山のものとも分からない新興会社だったことも覚えておきましょう。

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