大手商社、海外発電に注力 資源事業の苦戦受け投資加速(2016年7月9日朝日新聞デジタル)
大手商社が発電事業への投資を加速している。大手5社が参加する国内外の事業のうち、各社の出資割合分の発電能力は海外を中心にここ4年で3割増。資源事業が市況悪化で苦戦するなか、長期に安定して収益が上がる電力分野に一段と注力する構えだ。
大手商社が発電事業への投資を加速している。大手5社が参加する国内外の事業のうち、各社の出資割合分の発電能力は海外を中心にここ4年で3割増。資源事業が市況悪化で苦戦するなか、長期に安定して収益が上がる電力分野に一段と注力する構えだ。
「物産」(三井物産)、「商事」(三菱商事)などの総合商社は、日本を代表する企業としてよく名前を聞くと思います。ただ、仕事の内容を理解している人はそれほど多くないのではないでしょうか。もともとは国内外の資源や商品を売り買いする「商売」をする会社でしたが、今はそういった貿易業務にとどまらず、ジャンルを問わずにもうける仕組みを見つけ、作り上げる仕事がメインになっています。総合商社のニュースをチェックすることで、日本や世界のビジネストレンドにも強くなることができます。
今回の記事ではその中でも「発電事業」のトレンドをまとめています。総合商社は前出の2社のほか、現在業界トップの伊藤忠商事、丸紅、住友商事の「五大商社」、それに豊田通商、双日の2社を加えた「七大商社」がいわゆるトップ企業です。発電事業はこれまで、丸紅がトップを走っていました。1990年代から発電所の運営や売電を手がけ、現在は海外21カ国・地域に進出。国内でも電力自由化をにらみ、昨年には楽天と電力小売り事業で提携を発表。また関西電力と組んで首都圏や東北に火力発電所を作る計画もあります。
その丸紅の海外発電能力を今年抜いたのが三井物産。「一定の規模がないと安定した売電が難しい」(安永竜夫社長)と拡大を急ぎ、丸紅のお家芸でもあった発電事業で一歩ぬきんでたのです。住友商事、三菱商事も力をいれはじめています。長らく総合商社は様々な資源を売り買いするビジネスでもうけてきましたが、近年の世界的な景気停滞で資源が安くなったことで、新たな収益源として発電が注目されています。
三井物産プロジェクト本部のウェブサイトによると、電力発電事業は「米州、欧州、中東、アジア、大洋州」と文字どおり世界中に広がっています。インドネシアのパイトンで手がける石炭火力事業は1990年代初頭からとりくみはじめ、1997年のアジア通貨危機などを乗り越えて今日にいたっています。インドネシアの電力需要は2009年の134テラワットから2018年には倍以上の287テラワットに増えそうで、先を見越した粘り強い事業展開が大きな果実につながりつつあるようです。総合商社の魅力は、こういったダイナミックな事業展開ができることにもありそうですね。
2024/11/21 更新
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