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2016年06月10日

ファミリーマートの「ファミチキ」10周年は、スゴイ?

流通

「ファミチキ」10周年 新味も(2016年6月8日朝日新聞朝刊)

 ファミリーマートは、人気のチキン商品「ファミチキ」の10周年を記念する発表会を東京都内で開いた。新たに「甘辛味」、「だし醬油味」(いずれも税込み180円)を発売し、顧客拡大に弾みをつける。ファミチキは、えさから管理してタイで育てたチキンを使った「骨なし」フライドチキン。開発と発売を主導した上田準二会長は「1年で70%の商品が消えていくコンビニの中で、10年続いたことはありがたい」などと話した。

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 コンビニの商品開発が熾烈(しれつ)を極めていることが、上田会長のコメントに集約されています。セブン&アイ・ホールディングスの会長兼CEO(最高経営責任者)を退いた鈴木敏文氏はセブン-イレブンでコンビニおでんをいち早く手がけるなど、さまざまなヒット商品を生んできましたが、新商品は必ず試食し、しばしば部下に厳しい意見を入れていました。取材でお会いした鈴木氏ご本人から、「赤飯のおにぎりを試食したら蒸さないで炊いて作ってきた。赤飯はもち米を蒸して作るものだ。『これは違うだろう』と言ったんです。現場は効率から工程を考えたが、私は自分で食べてホンモノかどうか判断しました」などと、“お客様目線の神髄”を聞いたことがあります。

 そのセブン-イレブンのHPには、「セブン-イレブン徹底解剖 商品開発」というコーナーがありました。「いまの時代、お客さまの関心は新しく登場した商品に向かいがちです。そのため、商品のライフサイクルはますます短くなる傾向です」と、ファミマの上田会長と、まさに同じ指摘をしています。そのために、セブン-イレブンはメーカーなどの「お取引先」とチームを組んで情報を共有、それぞれの専門家の情報やノウハウを蓄積し、商品開発する「チームMD(チーム・マーチャンダイジング)」を組織しているのだそうです。そうした仕組みから、なんと毎週約100アイテムの新商品が生み出されているのです。

 コンビニの国内市場は飽和状態ともいわれます。その中でお弁当やスイーツなどの食品の新商品開発は、各社の売り上げの成否を決するだけに、どこも真剣です。コンビニや食品メーカーの商品開発は就活生の間では人気ですが、「スイーツが好きだから」、「身近にあって昔から親しんできたから」だけでは、なかなか務まらない仕事だということも踏まえてほしいと思います。

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