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2016年04月05日

損害保険ってどんな仕事? ITとの連携事業から探る

銀行・証券・保険

損保大手、IT強化 車載端末・人工知能活用…(2016年4月5日朝日新聞朝刊)

 損害保険大手がITを活用した事業強化を進める。車載端末で安全運転の推進や事故対応の迅速化につなげるほか、人工知能(AI)を使ってコールセンターの業務を効率化する。ITを活用した保険商品開発や住宅関連サービスも検討する。

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 学生に人気の高い金融業界ですが、損害保険(損保)業界は自動車を運転する人以外にはあまりなじみのない業界ではないでしょうか。それだけに、研究をしっかり深めておくとライバルに差をつけやすい業界でもあります。

 損害保険とはそもそもどんなビジネスなのか。「人事のホンネ」でインタビューした日本の損保最大手、東京海上日動の採用担当者は「たとえば航空機に航空保険がかかっていなければ飛ぶことができません。保険という金融の仕組みがあるから、何千、何万もの航空機が空を飛び、航空産業が社会インフラになっています」といい、「新しいビジネスチャンスを生かしたり、新しい産業がおきて成長し成熟するために、われわれの仕事は必要なんです」と説明しています。人間の生死というリスクは生命保険会社が担い、それ以外のリスクは損害保険会社が担う、ともいいます。主流事業は自動車保険ですが、それ以外にもありとあらゆるビジネスの裏側に損保会社がいて手助けをしています。それだけに、最先端のビジネス動向に対する高い感度が問われる業界でもあるのです。

 今回取り上げた記事ではそのうち、ITの進化に対する損保業界の対応をまとめています。ポイントのひとつは、「顧客との接点の強化」。保険、特に損保業界は基本的に何か悪いことが起こった時以外に顧客との接点を持ちづらく、そこが営業上のネックとなっていました。そこで例えばあいおいニッセイ同和が始めるのが、テレマティクス(自動車とITを組み合わせたサービス)を活用し、運転手に安全運転の助言をするサービス。そのほかにも自動車のデータを分析して情報を送信したり企業の出退勤データをもとに健康面のアドバイスをしたり、ITを活用して顧客により近い存在になろうとする戦略が見えてきます。顧客の運転や健康のレベルがあがり事故が減れば、保険料支払いの減少にもつなげられます。損保業界がIT活用に熱心になるゆえんです。

 東京海上日動はこのほか、自動運転車の公道実験に参加し、さらに自動運転の実験中に起きた事故の補償や事故原因の調査費用をカバーする保険商品を開発したと発表しています。損保と最先端技術の融合に注目してください。

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