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2016年01月19日

スマホ代値下げでも家計圧迫? 業界の特性を考えよう

通信・インターネット関連

スマホ端末、値上げ模索(2016年1月19日朝日新聞朝刊)

 大手携帯電話会社が売るスマートフォンの一部機種が、来月からやや高くなりそうだ。背景には、政府が過度な値引き販売を問題視したことがある。政府はもともと「家計負担の軽減」を掲げて通信料の引き下げを求めてきたが、端末代の値上がりで、逆に遠のく可能性もある。

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 みなさんおなじみiPhone、その最新機種を定価で買うといくらくらいでしょう? docomo、au、ソフトバンクなど各キャリアによって違いますが、だいたい10~11万円程度。考えてみれば相当高い金額ですが、皆さんご承知のとおりほとんどの人はこの半額程度でiPhoneを手に入れられます。各キャリアが2年間の契約を条件に毎月、通信費を一定額割り引くサービスを行っているからですね。

 キャリアを乗り換える(MNP・Mobile Number Portability)などの条件を満たした場合はこの割引き幅がさらに大きくなり、いわゆる「実質0円」でiPhoneを入手することも可能だったりします。この値引きを実現するために、もともとの通信費を高く設定しているのではないか、と考えたのが安倍政権。端末料金はちゃんととり、その分通信費を値下げする――というのが政府の意向を受けた3キャリアの動きになりそうですが、結果として家計への負担は変わらないどころか上がる可能性もあると記事では指摘しています。

 通信費を値引きしてまで端末を安く売る最大の理由は見てのとおり、それと引き換えに他社からの乗り換えや長期(2年)契約を結ばせることです。こんなことが横行している理由は、携帯電話業界が冒頭に示した3社独占状態だからです。

 全国津々浦々に電波を送信しなければいけない業態のため、超巨額の投資が必要で、新規業者は簡単に参入できません。そのぶん、参入してしまえば収益は絶大。ソフトバンクはこの業界に狙いを定めて事業を着々と拡大し、2006年にボーダフォンを買収して参入を実現しました。新規参入企業に対抗する必要がない分、多額の値引きを準備して3社間の争いに集中できるために「実質0円」が横行しているわけです。すべてを含めた家計負担を下げるためには実質0円を防止するよりも3社独占状態を解消することのほうが重要ですが、こちらの施策はまだあまり進んでいないようですね。最近広まってきた格安スマホがどこまで市民権を得るかに注目したいところです。

 みなさんもぜひ、自分の志望する業界の「参入障壁」はどの程度か、考えてみてください。障壁が低ければ求人も多いが仕事はたいへん、障壁が高ければ求人は少ないが仕事は安定します。グローバル化により、これまで高いと思っていた障壁がくずされているケースも少なくありません。業界選びの参考にしてください。

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