2025年12月01日

システムを人質に、サイバー攻撃の被害広がる【週間ニュースまとめ11月25日~30日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 ビールや飲料の大手、アサヒグループホールディングスの勝木敦志社長が11月27日に記者会見を開きました。同社は9月にハッカー集団からランサムウェア身代金ウイルス)を使ったサイバー攻撃を受けてシステム障害が発生し、国内工場のほとんどが受注や生産を停止していました。システム障害が起きてからはじめて公の場で説明に立った勝木社長は、約191万件の個人情報が流出したことやシステム障害により多くの顧客や関係者に迷惑をかけていることを謝罪しました。アサヒグループのシステム障害は今も続いていて、国内工場のほとんどは生産が止まったままです。

 10月にはオフィス用品などを配送するアスクルもサイバー攻撃を受け、今も事業は完全には再開できていません。ハッカー集団は外国を拠点としていて、身代金をとることが目的と考えられています。アサヒグループもアスクルも身代金を払っていないとみられますが、業務ができないことによる業績への影響は甚大です。身代金といえばかつては子どもなどを人質にとる誘拐事件で使われた言葉ですが、いまはネットワークを人質に取るサイバー攻撃の際に使われることが多くなりました。身代金を払えばネットワークを正常に戻してやる、というわけです。社会が防御の技術を高めても、ハッカー集団も攻撃のレベルを高めるいたちごっことなっています。サイバー攻撃を割に合わない犯罪にするべく、社会が立ち向かわないと、大変なことになりそうです。(ジャーナリスト・一色清)
(写真・サイバー攻撃を受けたシステム障害に関する調査結果の説明会で記者の質問を受けるアサヒグループホールディングスの勝木敦志社長=2025年11月27日/朝日新聞社)

【経済】一般病院の6割赤字、利益率マイナス7.3% 24年度、厚労省調査(11/26.Wed)

 国公立や民間を含めた一般病院の約6割が2024年度に赤字だったことが、厚生労働省が11月26日に公表した2023年度と2024年度の「医療経済実態調査」でわかった。医業と介護の収益に対する利益の割合を示す利益率は、2024年度は平均でマイナス7.3%だった。利益率は少なくとも2019年以降で最低レベルだった。主要な収入源の診療報酬が物価高騰や賃上げに対して低いことが背景にある。

【国際】香港の高層住宅火災、少なくとも44人死亡 工事関係者3人を拘束(11/26.Wed)

 11月26日午後3時(日本時間同4時)ごろ、香港北部の新界地区にある高層住宅から出火した。出火したビルでは修繕工事が行われており、外壁の竹の足場から出火したという。現場は計8棟が立つ集合住宅。1983年に落成し、計2千戸近い住宅がある。
 香港北部の新界地区で高層住宅7棟が焼けて128人が死亡した大規模火災で、香港の警察当局は11月29日、依然として150人と連絡が取れていないと明らかにした。ただ、火災当時住んでいたか分からない人も多く、被害がどこまで拡大するかは不明だ。(11/29.Sat)

【社会】アサヒ、勝木社長がシステム障害を陳謝 個人情報191万件が流出か(11/27.Thu)

 アサヒグループホールディングスの勝木敦志社長は11月27日、都内で開いた記者会見で、9月末から続くシステム障害について「多くのお客様・関係先の皆様にご不便をおかけしました。ご迷惑をおかけしていることを心よりおわび申し上げます」と陳謝した。その上で、来年2月までに物流業務全体の正常化をめざすと発表した。システム障害が起きてから、勝木社長が公の場で説明するのは初めて。会見では11月27日時点で、顧客の氏名や性別、住所、電話番号などの情報152.5万件を含む191.4万件の個人情報が流出した可能性があるとした。

【政治】与党が衆院で過半数を確保 無所属の3議員が自民会派入りで正式合意(11/28.Fri)

 衆院会派「改革の会」で活動する無所属の衆院議員3人が11月28日、国会内で自民党の鈴木俊一幹事長と面会し、自民会派に加わる意向を伝えた。鈴木氏も受け入れる考えを示し、会派入りで正式に合意した。これまで自民と日本維新の会の与党は衆院で計230議席の少数与党だったが、3人の加入により、与党会派は過半数(233議席)に達した。衆院での与党の過半数の確保は約1年ぶり。参院では自民と維新は計119議席で過半数まで6議席足りない状況が続く。

【政治】政府、補正予算案18.3兆円を決定 続く肥大化、高市首相も疑問視(11/28.Fri)

 政府は11月28日、総合経済対策の裏付けとなる2025年度の補正予算案を持ち回り閣議で決定した。一般会計の歳出は、経済対策の17兆7028億円に他の費用を加え、総額18兆3034億円。前年から4兆円以上増えた。費用をまかなうため、新たに国債(借金)を11兆6960億円発行する。2025年度末時点の国債発行残高は1229兆円に増える見込みだ。「責任ある積極財政」を掲げる高市早苗政権のもと、金融市場では財政への不安から国債金利が上昇傾向にある。

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