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2014年11月21日

実は「日本の基幹産業」 化学業界の全容知ろう

化学

化学メーカー「健康」商機 (11月15日朝日新聞朝刊)

 薬や医療機器、健康サービスで稼ごうという「異業種」が目立っている。高齢化や健康意識の高まりで、今後の成長が見込めるからだ。もともとは化学メーカーなのに、今ではもうけの大半が移っている企業も出ている。

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 化学業界の近年の変化を、大きく俯瞰した記事です。

 自動車会社や電機会社など、さまざまな工業製品をつくっているメーカーに向けて、ゴムやプラスチックといった「材料」を提供する。そんなイメージの強かった化学業界ですが、記事によればこうした一般的な化学品は原料費の高騰などで赤字になっているそうです。そこで新たな収益源として軸足を移しているのが、薬や医療機器というわけです。

 記事に登場する化学メーカーも多彩。三菱ケミカル、住友化学、三井化学、東レ、旭化成、帝人、富士フイルム……と、有名な会社名がずらりと並んでいます。地味なイメージもある一方で、「化学」という業界の規模は非常に巨大です。この機会に、その大きさを実感してみましょう。

 日本の化学工業分野の出荷額は40兆円、付加価値額は15兆円もあります。これらを製造業全体でみれば、化学業界は自動車産業に次ぐ第2位の地位にあります。付加価値とは、おおざっぱにいえば「利益」に相当する金額で、そのまま国内総生産(GDP)へと積み上がります。業界団体である日本化学工業協会は、こうした自らの立場を「日本の基幹産業である」と誇らしげに語っています。

 ほかにも、業界の規模を象徴するような数字を見ていきましょう。

・従業員数は86万人(製造業全体では「食料品」「自動車」に次いで第3位)
・研究費は2兆3000億円(日本の製造業全体の22%を占め、第1位)
・設備投資額は1兆2000億円(日本の製造業全体の11%を占め、第2位)

 どうですか。こうして並べると、化学業界の動向はそのまま、日本全体の景気や雇用に大きく影響するだろうと想像できますね。

 日本化学工業協会が編集したパンフレット「グラフでみる日本の化学工業2014」には、
「製造しているモノがあまりに多義にわたるため、姿が見えづらい化学工業」
 という言葉もあります。姿が見えづらいだけに、きちんと関心を持ちたいですね。

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