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2014年11月18日

タカタ製エアバック不具合でホンダ7万台リコール

自動車・輸送用機器

タカタ製エアバッグ不具合問題 ホンダが7万台リコール (11月14日朝日新聞朝刊)

 自動車部品大手タカタ(東京)製造のエアバッグが衝突時に破裂し、金属片が飛び散ってけがをする恐れがあるとして、ホンダとホンダのタイ法人は11月13日、乗用車「ザッツ」「フィットアリア」の2車種、計7万797台のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。

【目のつけどころ】リコール問題で知ろう、自動車部品メーカー業界の現状

 一般消費者に向けた商品を売る「B to C」(Business to Consumer)に比べると、企業どうしの取引である「B to B」(Business to Business)に関わる会社の名前は、やや馴染みが薄いかも知れません。しかし、そこには世界的企業が数多くあります。

 タカタもその一つ。車の重要な安全装置であるエアバッグやシートベルト製造で、世界2位の企業です。そのタカタがいま、品質問題で揺れています。日本や米国で、エアバッグの不具合によるリコール(無償回収・修理)が1千万台を超え、収束の兆しが見えません。

 1台の自動車には3万点もの部品が使われています。それだけに部品メーカーの裾野は広く、多くは自動車会社と系列関係があるのも特長です。しばしば「トヨタ系」「ホンダ系」などと呼ばれる顔ぶれを、ここで簡単に整理してみましょう。

・トヨタ系=デンソー、アイシン精機、ジェイテクト、豊田自動織機など
・ホンダ系=ケーヒン、ユタカ技研、ショーワ、八千代工業など
・日産系=カルソニックカンセイ、ジヤトコ、ユニプレス、鬼怒川ゴム工業など

 さて、ここにタカタの名前がありません。同社は一般には、このような系列に属さない「独立系」とされてきました。では独立系の社名も見てみましょう。

・独立系=NTN、日本精工、矢崎総業、NOK、ニッパツ、サンデンなど

 部品メーカーと自動車会社は、かつては強い結びつきがありましたが、いまでは「脱系列」が進んでいるといわれます。世界的な市場の拡大と価格競争を背景に、自動車会社が従来の「系列」にとらわれず、より安価な取引先をドライに求めて海外部品メーカーとの連携を深めたりしていることが背景とされます。

 ただ今回のエアバッグ不良の問題では、ホンダとの関係がクローズアップされています。タカタはもともと織物会社でしたが、ホンダからの依頼をきっかけに1987年からエアバッグ製造を始めたとされます。リコール対象もホンダ車が680万台と、突出しています。ホンダからの出資比率は1%程度ですが、ホンダ車の約半数にはタカタ製エアバッグが搭載されているそうです。

 不具合問題をめぐって、米国では議会で公聴会を開くという事態にまで発展しています。公聴会にはホンダも出席します。「B to C」企業として消費者と接しているホンダにとっても、深刻な問題になっています。

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