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2014年11月25日

日本生き残りのキーワードは「セル生産方式」

精密機器・電子機器

国内生産増加じわり ロボ大手など新工場 (11月21日朝日新聞朝刊)

 産業用ロボットや電子部品などをつくる大手メーカーの間で国内の生産を増やす動きが出始めた。円安が進み、国内工場から輸出したときの円換算の収益が大幅に改善しているためだ。

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 より安価な労働力を求めて、工場などが海外へ出ていった結果、国内の「ものづくり」が空洞化して雇用が減ってゆくとしばしば指摘されます。この流れは、「大量生産」という産業構造の宿命でもあります。

 大量生産の基本形態は、米国の自動車産業によって始まったことから「フォード型生産システム」などとも呼ばれます。具体的に言うと、

・大量の労働者を雇用して分業を徹底し、
・ベルトコンベアのような流れ作業を効率化し、
・少ない種類の製品を大量につくり出す

 こういった手法でコストを徹底的に引き下げるわけです。大量の労働者が必要ですから、人件費が高ければこの方式のメリットはありません。わざわざ海外に進出しても、人件費の高騰によって生産拠点が引き払われるケースは数多くあります。

 では、こうした大量生産方式の逆は、何でしょうか? 今後、ものづくりが日本の国内でも成り立っていくとすれば、どのような道が考えられるでしょうか?

 これを考えるために今回、一つの用語を覚えてみましょう。「セル生産方式」です。1人や数人の少数者で、製品の組み立てを最初から最後まで完全に受け持ち、多様な注文などによる多品種少量生産にも対応できる生産形式です。

 国内のものづくりで強みを発揮している製品をめぐって、このセル生産方式が採用されていないか、チェックしてみて下さい。かなりの割合で、この言葉との結びつきが見つかるはずです。

 たとえば、今回の記事に登場する安川電機。同社では「進化型セル生産ライン」と名づけた新しい生産システムを導入して、多品種少量生産を実現しているといいます。

 セル生産方式なら、部品や作業順序を変更することで、多様なバリエーションに対応できます。生産量の調整も容易です。

 一方で、製品を最初から最後まで組み立てるわけですから、作業員には熟練したスキルが求められるでしょう。この「熟練したスキル」こそ、日本の強みのはず。今後、ニュースなどで「工場の国内回帰」の動きを目にしたなら、その背景に「セル生産方式」が隠れていないか、探ってみてください。

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