業界研究ニュース

2017年03月14日

新日鉄住金が日新製鋼を子会社化、鉄鋼大手は3陣営に

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リストラと再編の30年

 国内鉄鋼最大手の新日鉄住金が4位の日新製鋼の子会社化を完了しました。鉄鉱石から鉄をつくる高炉を持つ国内の鉄鋼大手は、新日鉄住金、JFEホールディングス、神戸製鋼所の3陣営に集約されます。「鉄は国家なり」の言葉があるように、かつて鉄鋼業界は日本の中心産業でした。しかし、高度成長が終わり、新興国との競争も激しくなり、ここ30年ほどリストラと再編を繰り返してきました。3陣営体制がその終着駅かどうか、まだ見通せません。
(2017年3月14日朝日デジタル)

鉄鋼業界には「高炉」と「電炉」

 鉄鋼業界には、高炉メーカー電炉メーカーがあります。高炉メーカーは、鉄鉱石から鉄をつくりますが、電炉メーカーは鉄くずから鉄をつくります。電炉メーカーは高炉メーカーほど大きな投資が必要でないため、数はたくさんありますが、多くは中小企業です。高炉メーカーはいずれも巨大企業で、鉄鋼業界と言ってまずイメージするのは、高炉メーカーです。

80年代の円高不況から縮小へ

 1980年代、高炉メーカーは6社ありました。新日本製鉄、日本鋼管、川崎製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所、日新製鋼です。新日鉄は、経団連会長を出す日本を代表する会社で、残り5社も財界で重い役割を担う大企業でした。しかし、80年代半ばの円高不況を皮切りに、製鉄所の縮小や他分野への進出などが始まりました。6社体制が終わるのは、21世紀に入ってすぐでした。2002年に川崎製鉄と日本鋼管が経営統合してJFEホールディングスができました。さらに2012年には新日本製鉄と住友金属工業が合併し、新日鉄住金が誕生しました。そして今回、新日鉄住金が日新製鋼を子会社にすることで、6社体制が3陣営に集約されたことになります。
(写真は、千葉市にあるJFEスチール東日本製鉄所の高炉です)

日本の鉄鋼業界の将来性は不透明

 鉄鋼は好不況の波が大きい業種です。最近は、鉄鋼業が不況に陥るいわゆる「鉄冷え」が世界中で起きています。原因は中国でつくりすぎた鋼材が国外に大量に輸出され、値下げ競争に陥っているためです。
 ただ、長期的に見ると、発展途上国や新興国での需要はまだまだ増えると考えられます。一方で、新興国などの生産力もまだまだ上がるとみられますので、日本の鉄鋼業界の将来性の判断は難しいところです。
(図は、2016年2月2日朝日新聞朝刊に掲載された、世界の鉄冷えの状況です)

熟した企業の良さも

 将来性は不透明ですが、就職先として見た場合、いい点もいろいろとあります。3陣営とも、歴史の古い会社ですので、土地や株といった資産をたくさん持っています。また、「名門企業」だけに優秀な人材を抱えてもいます。しっかりした労働組合があり、労働時間や福利厚生の面でも比較的恵まれています。製鉄所は海に面した地方都市に立地して企業城下町を形成していて、地元に大事にされています。比較的おっとりした社風だと言われますが、それはこうした余裕から生まれているのだと思います。若いエネルギーが満ちあふれているIT企業などとは違う、熟した企業の良さに目をつけてもいいと思います。

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