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2016年08月24日

みずほとソフトバンクが個人融資で提携、フィンテック知ろう

銀行・証券・保険

みずほ、ソフトバンクと提携 個人向け融資、ITで審査(2016年8月12日朝デジ)

 みずほフィナンシャルグループは、IT(情報技術)を活用した金融サービス「フィンテック」でソフトバンクグループと提携し、スマートフォンで申し込みができる個人向け融資事業を始める。審査にITを用いて、学歴や職歴などの情報から顧客一人ひとりの貸出金利や上限金額を決める仕組みを検討している。

フィンテックは世界を変える

 「フィンテック」という言葉を知っていますか? 「ファイナンス」(金融)と「テクノロジー」(技術)を組み合わせた造語で、特にIT技術と金融産業の融合を指します。近い将来、世界を変えるキーワードのひとつとも言われています。金融業界に興味がないから知らない……ではもう済まない時代です。ニュースをチェックし、フィンテックによってどんなサービスが生まれ、どう社会が変わるのか、自分なりにイメージできるようにしておきましょう。

従来よりも低金利で

 今回とりあげた記事は、「フィンテック」がつくりだす未来をイメージさせてくれます。メガバンクの一角であるみずほフィナンシャルグループ(FG)がメガベンチャーの雄・ソフトバンクと組み、スマートフォンで個人が融資(借金)を申し込める仕組みを作るというのです。住宅を買う際の住宅ローンや子どもの学費のための学資ローンなど、個人が銀行からお金を借りるケースはいろいろあります。その際には銀行にたくさんの書類を持ち込み、印鑑を押し、銀行に審査してもらい融資を受けるというめんどうな手続きが必要。また、多少の上下はあれど基本的には決まった金利の商品しか用意されていないのが現状です。今回発表されたサービスは、この面倒な手続きを簡略化し、かつ個人の学歴や職歴といったデータから適切な金利をはじきだして通常のプランより低金利を実現できる、というのが売りです。IT技術が進化したからこそ提供できるビジネスなんですね。

優秀層にビジネス拡大

 ソフトバンクは昨年10月、オンラインで学資保険借り換えなどの融資を仲介する米国のフィンテックベンチャー、ソーファイ(ソーシャル・ファイナンス)社に10億米ドル(約1000億円)を出資しました。フィンテックで融資の敷居や柔軟な商品づくりができるようになり、「従来の銀行取引サービスに満足できなかった優秀な人材」(ソーファイ社)を対象にしたビジネスが拡大できる、としています。融資が拡大することで、新たなビジネスの種や優秀な人材層の拡大が見込めるかもしれません。金融業界以外を志望する人にもぜひ知っておいてほしい動きです。

日本の投資遅れ

 フィンテックについては、8月24日の朝日新聞デジタル「金融×IT 開発加速」という記事で金融各社の取り組みがまとめられています(図)。金融などの取引データを複数のサーバーが分散して管理する「ブロックチェーン」という技術が注目されていることもわかります。一方で、大手コンサルティング会社アクセンチュアの調査によれば、日本のフィンテックに対する投資額はなんと米国の0.5%にとどまるとか。みなさんの世代でぜひ、流れを変えてください。

親密な2社

 みずほ銀行とソフトバンクは長年親密な関係にあり、7月にソフトバンクが発表した英半導体会社アームの買収でも、買収資金3兆円のうち1兆円をみずほ銀行が貸しだしています。今回のビジネスも、そういった関係性のうえに成り立っているようです。企業研究の際は、こういった企業同士の関係性にも注目するとより面白くなりますよ。(写真はみずほ銀行でフィンテックを紹介するソフトバンクのロボット「Pepper」)

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