看護師の願い 耳掛けライトに(2016年8月21日朝日新聞デジタル)
島根大は、夜間看護で耳に掛けて使うLEDライトを地元出雲の「Doライト」と「島根富士通」との3者で共同開発した。今秋の商品化を目指す。耳掛け式なので両手で看護師が作業に集中できる。体を斜め前に傾けると点灯し、ゆっくりついたり消えたりするフェード機能もある。手作業には十分な100ルクスで照らす。重量はバンドを含め37グラム。島根大医学部付属病院で、職員を対象とした医療機器開発のためのアンケートを実施。回答した一人の看護師の要望から生まれた。
出雲ブランド認定LED照明のベンチャー企業
島根大と組んだ2社はどんな企業でしょう。DoライトのHPなどを見ると、日本で唯一の交流式LED(発光ダイオード)の照明器具製造・販売会社。自動車ディーラーである島根中央ホンダや建材会社などを地元で幅広く経営する影山和夫氏が2010年に創業したベンチャー企業です。ふつうは日本のLEDライトは家庭のコンセントから得られるような交流の電流を変換器で直流にして使用します。ところが、Doライトの主力商品であるLEDライトは交流の電源を直接使えるため、変換器が不要で軽量・小型化、省エネなど、さまざまなメリットがあるそうです。高温や粉じん、衝撃の多い工場でも同社の照明は劣化しにくいとうたっています。DoライトのLED照明は、出雲市が地元企業の優秀な商品として認定する「出雲ブランド」認定商品に2014年、選ばれました。
ノートパソコンの生産日本一の島根富士通
では、島根富士通はというと、<島根富士通は、ノートパソコン、タブレットなどを国内で一貫製造を行う日本一の製造会社です。>と、HPのトップページに書いています。プリント基板の組み込みにはじまり、製品の組み立て、梱包、出荷までを一貫して行い、さらに顧客の要望に応じて1台から製品を供給できる体制を整えているといいます。2013年5月に、すでに累計生産台数3000万に達しており、年間約200万台を生産するまさに国産ノートPCのナンバーワン企業です。島根富士通のノートパソコン・タブレットも2012年から「出雲ブランド」になっています。
地方にあるオンリーワン、ナンバーワン企業
看護師向け耳掛けライトは、地元国立大学と同じ出雲でオンリーワンとナンバーワンの企業がスクラムを組んで開発した新製品だったのです。東京一極集中といわれますが、じつは隠れたオンリーワン、ナンバーワン企業が地方にもあるのです。地域の実力企業に目を向けると、あなたにベスト・マッチングする企業が見つかるかもしれません。業界・企業研究は、だれもが知っている有名企業ばかりに目が行きがちですが、もっと幅広い視野・視点を持ってください。