三菱商事、サケ養殖買収へ (9月23日朝日新聞朝刊)
三菱商事は9月22日、サーモンの養殖・加工で世界3位のセルマック(ノルウェー)を買収すると発表した。22日から10月にかけて株式公開買い付け(TOB)を行い、全株式を取得する予定だ。
三菱商事は9月22日、サーモンの養殖・加工で世界3位のセルマック(ノルウェー)を買収すると発表した。22日から10月にかけて株式公開買い付け(TOB)を行い、全株式を取得する予定だ。
さらりとした短い記事です。「三菱商事が水産会社を買収する」。シンプルに言えば、それだけ。あとは、その会社の規模と買収額のデータくらいしかありません。
でも、これで「よし、わかった」なんて納得しては、ちょっともったいない。もっと大きな問題に向き合いませんか。
まず考えましょう。「そもそも、なぜ買収するの?」。もちろん、利益を出せる見通しがあるからですが、ではそれはナゼなのか。理由や背景を見ていくことで、ニュースのおもしろさは広がります。
三菱商事は、この日に発表したプレスリリースで、買収理由を丁寧に説明しています。主旨はこんな感じです。
・世界人口はこれからも増えつづけ、食料確保はますます重要になる。
・魚は貴重なタンパク源だが、「獲る漁業」だけでは限界がある。
・サケ養殖は環境への負荷が小さく、今後の新興国需要にも対応できる。
どうですか。世界人口、漁業資源、新興国……。興味深いテーマが満載ですよね。そして、これらはまさに「人類の持続可能性」という大問題そのものです。
たとえば先日も、枯渇が心配される太平洋クロマグロの漁獲制限を国際的に決める動きがニュースになりました。太平洋クロマグロの8割は、なんと日本人が消費しているとのこと。日本の動きには国際的な関心が寄せられ、なかには厳しい視線もあります。
他紙によれば、世界人口の増加によってサケ養殖市場は大きく拡大しているそうです。2012年の世界全体でのサケ供給量は350万トンで、この10年間で1.5倍にも増えました。この増加分のほとんどが養殖なのだといいます。
従来の「獲る漁業」から、新たな「育てる漁業」への転換。そして、ますます拡大する海外需要への対応……。どうですか。今回の三菱商事のニュースは、こうした重要な課題とも密接に結びついていることに気づきますよね。
三菱商事のプレスリリースはオフィシャルサイトの「プレスルーム」から見ることができます。企業の発表記事に興味を持ったら、ぜひ発表文を直接見てください。企業研究がより深まります。
2024/11/23 更新
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