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2014年09月26日

ソニーの純利益が当初予想下回り、株価下落も

家電・総合電機

ソニー株、大きく値下がり (9月19日朝日新聞朝刊)

 18日の東京株式市場で、ソニーの株価が大きく値下がりした。取引開始直後、前日終値(2123円50銭)より約13%安い1844円まで下落した。終値は8.6%安い1940円だった。

【目のつけどころ】 株価をきめる要素は業績だけではない

 ソニーの株価急落を伝える記事です。もちろん、前日のショッキングな発表による影響です。朝日新聞は1面で伝えていました。ソニーの今年度の純利益が、当初の会社予想より1800億円も減り、2300億円という巨額の赤字になりそうだ、という内容でした。

 これでソニー株は大量に売られ、値段が大きく下がったわけでが、そこには、ソニーの事業不振という点に加えて、ほかにもいくつかの要因があります。株式という仕組みを理解する手がかりにもなるので、この機会に整理してみましょう。

 一つは、「株主への配当をやめる」と発表したことです。通常、株には「配当金」が支払われます。銀行にお金を預けたときの「利子」に近いとイメージすればよいでしょう。

 1000円の株で年間の配当金が50円あれば、配当利回りは5%になります。銀行の利子よりはよほど高い利回りで、投資家が株を保有しようとする大きな魅力にもなります。配当金が支払われた直後に株を売る「権利落ち」という言葉もあるほどで、配当金の支払日を境にして、通常、株価は値下がりします。

 ソニーは、この配当そのものをしないと発表したのですから、投資家からは嫌われ、値段が下がりました。

 もう一つは、「格下げ」です。この記事にもあるとおり、米国の大手格付け会社が、ソニー株の格下げの見通しを発表しました。「BBBマイナス」から、さらに引き下げるとしています。

 格付けの仕組みを、どうぞ自分でチェックしてみてください。この「BBBマイナス」という評価こそ、大きな境目だとわかるでしょう。BBBマイナスとは、一般に「投資をするのにふさわしい株としての最低ライン」という評価です。つまり、この下になると「投資不適格」の烙印が押されてしまいます。

 株を大量に保有している大口の投資家のことを「機関投資家」といい、生命保険会社や証券会社などがこれにあたりますが、こうした機関投資家のなかには、「格付けがBBBマイナスを下回れば、強制的に売却する」というような運用ルールをもつところもあります。こうした背景も重なって、ソニーの株価は急落しました。

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