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2014年07月04日

製油能力1割減 石油元売り各社に義務づけ

エネルギー

製油能力1割減 業界に義務づけ (7月1日朝日新聞朝刊)

 経済産業省は30日の有識者会議で、石油元売り各社に対して製油所の精製能力を2016年度末までに1割減らすよう義務づける案を公表した。石油の供給し過ぎを解消するためで、10月末までに各社に製油所の再編や統合の計画を提出させて合理化を促す。

【目のつけどころ】 石油の需要のこれから

 これは、アベノミクスの「3本目の矢」に由来するニュースです。つまり安倍政権の「成長戦略」(政府は「日本再興戦略」と呼んでいます)による新しい動きです。記事には、こうした言葉はまったく出てきませんが、背景を理解している読者は、すぐにそう読み解くことができます。

 なぜ、国が企業に対して、「設備を減らせ」などと指示できるのでしょうか。それは新しい法律があるからです。今年1月に施行された産業競争力強化法です。

 「本法律は、アベノミクスの第三の矢である『日本再興戦略』に盛り込まれた施策を確実に実行し、日本経済を再生することを目的としています」
 これが経済産業省の説明です。そして、この法律に基づいて、政府は過剰競争に陥っている業界を調査することができます。その適用の第1号となったのが石油業界なのです。

 こうした背景を知っていれば、記事の読み方も変わってくるかも知れません。たとえば、
 「事業再編は自らの判断で実施する」
 という言葉。石油連盟の木村康会長の発言です。石油連盟とは、石油の輸入や精製、販売をしている企業の団体。この苛立った感じの表現からは、
 「製油所の再編は、国に強要されることではない。自分たちで経営判断する」
 という意志を読み取ることもできますね。

 木村会長は業界最大手のJX日鉱日石エネルギーの社長です。JX日鉱日石は、いわゆる「三菱系」です。業界にはほかに、「三井系」の三井石油や、「外資系」の昭和シェル石油や東燃ゼネラル、「独立系」の出光興産などがあります。

 石油の需要が落ち込んでいる背景には、少子化や、若者の自動車離れ、燃費のよいエコカーの普及などがあります。石油業界がこれからどうなっていくのか。一つの岐路となるかも知れない、重要な記事です。

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