中国 タブレット参入次々 (5月17日朝日新聞朝刊)
中国の有力電機メーカーが、タブレット端末の製造や販売に相次いで乗り出した。米アップルなどから製造を請け負う業者が国内にそろっているため、参入のハードルが低い。同じ構図で世界シェアが急成長したスマートフォン(スマホ)の再現をねらう。
中国の有力電機メーカーが、タブレット端末の製造や販売に相次いで乗り出した。米アップルなどから製造を請け負う業者が国内にそろっているため、参入のハードルが低い。同じ構図で世界シェアが急成長したスマートフォン(スマホ)の再現をねらう。
アップル製品の愛好家にとっては周知のことですが、iPhoneやiPadの裏面には、英語でこう刻印されています。
Designed by Apple in California, Assembled in China
製品が組み立てられたのは中国だけど、設計されたのはアップル本社があるカリフォルニアですよ、という高らかな宣言。どこに重点があるかと言えば、一般には「中国」ではなく「カリフォルニア」のほうだと認識されています。つまり「モノは中国製だけど、ココロは米国製だ」みたいな意気込みでしょうか。
しかし、現代社会がどう成り立っているかを理解する点では、注目すべきは逆なのかも知れません。つまり本当の重点は「中国」にある。そんな問題意識を感じさせるのが、今回の記事でした。
「iPadより安くて高性能だ」
そんなPRで、中国製タブレットが登場しているそうです。
アップルの刻印には、もう一つ重要な点があります。Assemble(アセンブル)です。つまりアップル製品は「組み立てられている」ということ。そこには、さほど特殊な部品は用いられていない。つまりアップルは、すでに世の中にある半導体や液晶など、既存の部品ばかりを「組み立てる」だけで、あの素晴らしい製品を生み出しているのです。だからアセンブル(組み立て)なのです。
経済学者の飯田泰之さんは、著書の中でこんなエピソードを紹介しています。アップルのiPadを見た日本の技術者が、負け惜しみを言ったそうです。「こんな程度の製品でいいなら、うちはとっくに作れていた」と。
単に「部品を組み立てる」という点では、きっとそうでしょう。アップル製品に特殊な部品はないのですから。しかし刻印にあるように、Design(デザイン)ができなかった。だから他の企業は遅れを取っているのですね。
もしかしたらアップルは、この記事のような中国企業の参入を、驚異と感じていないかも知れません。あるいは、もとから想定していたし、十分に計算済みかも知れません。「組み立ては、できるでしょう」(でも、負けませんよ)と。
アップルの気持ちを知りたくなりますね。もちろん日本の電機メーカーの気持ちも。
2024/11/21 更新
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