パイロット不足直撃 バニラ欠航 (5月17日朝日新聞朝刊)
格安航空会社(LCC)のバニラ・エア(千葉県)は16日、6月に国内線154便を欠航する、と発表した。退職が相次ぎ、機長が足りなくなったため。同じLCCで、10月までに2千便超が欠航するピーチ・アビエーション(大阪府)に続き、業界のパイロット不足の直撃を受けた形だ。
格安航空会社(LCC)のバニラ・エア(千葉県)は16日、6月に国内線154便を欠航する、と発表した。退職が相次ぎ、機長が足りなくなったため。同じLCCで、10月までに2千便超が欠航するピーチ・アビエーション(大阪府)に続き、業界のパイロット不足の直撃を受けた形だ。
航空会社は、人々の生活を支える重要なインフラストラクチャー(社会基盤)の一つです。各地の空港整備などにも、国の社会資本整備事業特別会計から「空港整備勘定」という名目で、多額の税金が投入されています。航空物流や運輸は、それだけ公共性が高く、安心で安全な暮らしに欠かせません。
ところがいま、この航空会社で混乱が続いています。日本でも急増してきた「格安航空会社」(LCC)で、パイロット不足を理由とする欠航が相次いでいるのです。大変に困った事態です。
今回の記事は、LCCの一つであるバニラ・エアが、6月に154便も欠航すると伝えています。ピーチ・アビエーションも10月までに2000便以上を欠航する見通しです。ピーチでは4月に、機長の勘違いによって、着陸直前に空港の手前で降下し、海面に異常接近する危険なトラブルもありました。
欠航の背景には、国内外でLCCがいっきに増えたため、パイロットの養成が間に合わず、引き抜き合戦になっている状況があるといいます。事業計画に甘さがあったのは明らかでしょう。
責任を負うのは航空会社だけではありません。そもそも航空運送は、国の許認可事業です。国土交通省は、それぞれの会社の運航規定や整備規定を審査し、安全管理の組織や体制などを検査して合格と判断した上で、認可を出しています。航空法という法律にこの根拠が明記されています。
国も対策に乗り出しました。国土交通省は21日に開いた乗員政策等検討合同小委員会という識者会議で、
・外国人パイロットを増やすため、外国と資格の相互認証をする
・凍結していた自衛隊員の民間航空会社へのあっせんを再開する
・私立大学などでのパイロット訓練費などの奨学金制度をつくる
などの対応策を示しました。
2024/11/21 更新
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