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2014年02月25日

東芝、ソニー、新たな活路を「医療」に

家電・総合電機

電機・重工、医療に活路 (2月22日朝日新聞朝刊)

 電機や重工といった大手製造業が医療分野の事業を強化している。先進国での高齢化の進展や新興国での人口増加で、世界的に市場の拡大が見込めるためだ。いまは欧米メーカーが席巻するが、政府も規制緩和で側面支援をはじめている。

【目のつけどころ】 日本の製造業「来し方とこれから」

 今の若い世代にとって、テレビや冷蔵庫、洗濯機などが自宅にあることは、いわば当たり前の風景でしょう。しかしほんの半世紀前まで、それらは「三種の神器」などと呼ばれる憧れの製品でした。
 1960年代にこれらが一通り普及すると、次に「3Cの時代」が訪れます。カー(車)、クーラー、カラーテレビの3Cが、新たな羨望の対象となったのです。
 かつて庶民には、こうした夢がありました。新婚生活を始めた若い夫婦などが、つましい生活と仕事の苦労のなかで、これらの製品を少しずつ買い足していく喜び。そうやって一歩ずつ生活を豊かにしていく幸福感が、昭和という時代にはありました。

 岩崎稔らが編集したシリーズ「戦後スタディーズ」の第2巻に、社会学者の上野千鶴子・東大名誉教授の論文が収録されています。そこに、次のような指摘があります。
 「高度成長期の日本経済は、成長経済による労働への分配と、それがもたらす内需拡大が好循環をつくりだす幸せな時代だった。妻たちは家電製品に憧れて夫の収入の上昇を望み、夫たちは何をつくってもヒットするメーカーの雇用者として企業と共存共栄の路線を歩んだ」
 おそらくある年代よりも上の人たちにとっては、この文章にある「家電製品に憧れて」という文言や、「何をつくってもヒットするメーカー」という形容に、感慨を抱くに違いありません。日本には、そんな「幸せな時代」があったのです。
 しかし、いまはどうでしょうか。日本の製造業はこれと正反対に、「何を作ってもヒットしない」という呪縛にもがいています。かつての憧れだった家電製品は、すっかり生活に行き渡ってしまい、メーカーは「その次の憧れ」をなかなか生み出せずにいます。

 今回の記事は、新たな活路を「医療」に求める動きをまとめています。東芝、ソニー、三菱重工業などの取り組みが登場します。日本の製造業の「来し方とこれから」を考える奥深い記事です。

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