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2014年02月19日

飲料用アルミ缶の消費量、過去最高に

素材

13年アルミ缶消費が最多 (2月15日朝日新聞朝刊)

 2013年の国内の飲料用アルミ缶消費量が約195億缶となり、4年連続で前年を上回り、過去最高を記録した。アルミ缶リサイクル協会が14日、発表した。

【目のつけどころ】 リサイクルの採算性

 ジュースやビールの容器として使われるアルミ缶の消費量が発表されました。まとめたのは、アルミ缶リサイクル協会です。アルミ缶製造などの業界団体ではなく、リサイクルの推進組織がこうした統計をまとめるところが、おもしろいですね。
 協会は、アルミ缶メーカーのほか、商社や飲料会社といった関連企業の協力によって運営されています。リサイクル優等生としてのアルミニウムをPRして、業界の発展につなげたい狙いもあるのでしょう。

 そこで、この機会にアルミ缶のリサイクルについて考えてみます。これは本当に、環境に優しいのでしょうか。
 もし、使用済みのアルミ缶を回収して再生するほうが、最初からアルミ缶を作るよりも多くの石油を消費するならば、リサイクルは本末転倒です。運搬コストや再生コストまで考えなければ、正しい効果は分かりません。リサイクルをするほうが環境に大きな負荷をかける恐れだってあります。

 こうした問題を長年厳しく追及してきたのが、中部大学の武田邦彦教授です。ガラスびんやペットボトル、スチール缶などさまざまなリサイクル品がありますが、その多くが、武田教授の研究によれば「逆効果」です。
 ただし、その中に例外がありました。それがアルミ缶。これについては、武田教授も「地球に優しい」と、しっかり認めてきました。
 協会によれば、
「回収されるアルミ缶は年間27万トンで、電力にして60億kwhの節約になる」
 とのこと。回収コストを差し引いても、大きなメリットがあります。

 では、ほかの回収事業はダメなのでしょうか。実は、おもしろい調査結果があります。アルミ缶、スチール缶、ガラスびん、ペットボトルの4種類について、日本アルミニウム協会がリサイクルの採算性を調べました。その結論は、驚くべきもの。
「リサイクルをして利益が出るのはアルミ缶だけだ」
 結果はここにあります。
http://www.aluminum.or.jp/box/junkan/keizai.htm

 どうですか。スチール缶やガラスびんなどは、リサイクルにための収集や処理に費用がかかり、税負担が生じていることが分かります。さらりとした調査発表ながら、重大な内容と言えるでしょう。

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