経済ナビゲーター 統合報告 (8月20~22日朝日新聞夕刊)
株主総会が終わって企業がいろんな報告書を出している。有名なのは有価証券報告書。業績や会社の財産といった財務情報を提供する。上場企業は法律で提出が義務づけられている。
株主総会が終わって企業がいろんな報告書を出している。有名なのは有価証券報告書。業績や会社の財産といった財務情報を提供する。上場企業は法律で提出が義務づけられている。
企業の情報開示をめぐる最新の動きです。注目しましょう。
企業から示される情報としては、「決算短信」や「有価証券報告書」が知られています。最近は、「CSR報告」や「環境報告」をまとめる流れも広がっています。
これに続く新しい動きが、「統合報告書」です。
統合報告書とは、何でしょうか? どんな背景があるのでしょう?
企業の最大の目的は「もうけること」でしょう。決算短信や有価証券報告書は、基本的にこの「もうけ」についての報告書。つまり財務状態の書類です。しかし社会が成熟するにつれ、「もうかれば、何をしてもいいのか」という問題意識も高まり、環境への配慮や企業の社会的責任が求められるようになりました。これを反映したのが、CSR報告や環境報告です。
ところが、こうした報告書をバラバラに出すだけでは、決算短信のような財務情報と、CSRのような非財務情報が、どんな関係にあるかが分かりません。
そこで登場するのが、統合報告書。この「統合」とは、財務と非財務の「情報をまとめる」という意味なのです。
では、どのように統合するのか。今回の記事では、その指針作りの動きを報じています。国際統合報告評議会(IIRC)という組織が今春、枠組み案を出しました。評議会の議長も来日しています。
記事では、日本企業のお手本として、資生堂が取り上げられています。資生堂の年次報告書は、化粧品が高齢化社会において果たす役割などが紹介され、企業自身の持続可能性がわかりやすく示されているそうです。また、武田薬品工業の年次報告書もIIRCの指針案を参照にして作られ、高く評価されているそうです。
どうですか。日本を代表する優良企業の資生堂と武田薬品工業が、「統合報告書」という新しい動きでも、そろって先頭を走っています。統合報告書、まさに注目です。
2024/11/23 更新
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