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2013年07月12日

計算してみよう自己資本比率

精密機器・電子機器

オリンパス公募増資 (7月9日朝日新聞朝刊)

 オリンパスは8日、7月中に約1千億円の公募増資を行うと発表した。欧米の機関投資家を中心に買い手を探す。集めたお金は、主力の内視鏡の工場拡大など設備投資や研究開発にあてる方針だ。

【目のつけどころ】 公募、増資、自己資本比率

 今回のニュースの要点は、
「オリンパスが公募増資をして、自己資本比率を高める」
 というもの。たったこれだけに専門用語がいくつもあり、慣れないと読みにくいかも知れません。しかし、日々の経済ニュースを理解する上では、どれも必須の言葉ばかり。「公募」「増資」「自己資本比率」を理解しましょう。
 増資とは「資本金を増やすこと」です。オリンパスでは2011年に損失隠し問題が発覚。投資の失敗などで多額の損失が出ていたのに、20年間にわたって隠されていました。
 このためオリンパスには巨額の借金があり、設備を増やしたり研究開発費を捻出したりするのが困難です。そこで資金を調達し、財務を立て直すことにしたわけです。
 この財務状態の健全さを示す指標が「自己資本比率」。計算式はこうです。
   自己資本比率=自己資本÷総資本
 自己資本は「純資産」ともいいます。その主なものが、株主が出資する資本金です。ほかに剰余金や準備金などがあります。また総資本とは、この自己資本に、他人資本を加えたもの。他人資本とはやや変な言葉ですが、要するに「他人から借りた資本」です。つまり負債のこと。
 だから計算式は、こう書いても同じです。
   自己資本比率=純資産÷(負債+純資産)
 さてオリンパスでは、この自己資本比率が最悪期には2%に低下していました。今回の増資で20%以上まで回復する見込みです。
 ちなみに純資産や負債がいくらあるかは、企業が公開する「貸借対照表」に載っています。また国内企業の自己資本比率の平均値は財務省がまとめています。どちらもホームページから簡単に入手できますので、ぜひチェックしてください。
 増資方法には「公募」と「私募」があります。不特定多数から出資を集めるのが公募。要するに、証券取引所で一般投資家に向けて新株を売り出すのです。
 ですから、このニュースが流れるとオリンパスの株価は大幅に下落しました。理由はもう分かりますよね。新株が増えるから、いまある株の価値が薄まり、値段が下がるのです。まるでパズルを解くみたいでしょう。これも経済ニュースの楽しみ方の一つです。

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