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2019年06月14日

太陽光発電に逆風!? それでも再エネが成長する理由

エネルギー

 太陽光発電風力発電といった再生可能エネルギー(再生エネ、再エネ)による電気の固定価格買い取り制度(FIT)について、経済産業省は新たに造られる大規模な太陽光発電設備を買い取り対象から外す方針を固めました。大規模な風力発電設備もFITの対象外にする方針です。固定価格買い取り制度で買った電力のコストは消費者が負担することになっており、電気料金高止まりの原因の一つになっています。政府は再エネの普及に力を入れてきましたが、ここにきて普及にブレーキをかけようとしているようにみえます。しかし、再エネの将来性に不安をもつ必要はないでしょう。政府は総電力量に占める再生エネ比率を今の約17%から2030年度には22~24%に引き上げることを目標にしています。また、世界全体では、すでに再エネの割合が25%近くになっています。再エネへの流れを押しとどめることはできず、政府の方針はこれまでふ卵器に入っていた再エネを自立に導こうとするものだといえます。再エネには幅広い業界がかかわっていますが、そうした業界には成長の期待がかかります。

(写真は、国内最大級のメガソーラー=岡山県瀬戸内市)

洋上風力がこれから増える

 再エネは、太陽光、風力、水力、バイオマス地熱などがあります。日本の総発電量にしめる再エネ発電の比率は2018年で17.4%となり、毎年少しずつ増えています。最も多いのは水力で7.8%、次いで太陽光で6.5%、あとはぐんと少なくなって、バイオマス、風力、地熱と続いています。ヨーロッパなどでは再エネ比率が30%を超える国が少なくなく、特に日本と違って風力の比率が高いのが特徴です。このため、日本でも風力の伸びる余地は大きいとみられていて、海の上に風車を立てる洋上風力発電がこれから増えると予想されています。

 東京電力東北電力北海道電力といった大手電力会社も最近、再エネ、特に洋上風力発電に力を入れると表明しています。大手電力は原子力発電の再稼働を優先して、再エネには前向きではありませんでしたが、原発の発電コストが上がってきたことや世論や世界の流れが原発から再エネに向かっていることから、再エネに本腰を入れる決断をしたようです。

(写真は、北九州市沖で実証実験が始まった洋上風力発電システム=朝日新聞社ヘリから)

連系線の増強で欠点をカバー

 再エネの欠点は、気候によって発電量が大きく変化することです。太陽光は曇りや雨で発電量が激減しますし、風力は風の強さで変わります。その欠点をカバーするためには、電気を貯める蓄電能力を持たないといけませんが、今のところ大規模な蓄電システムはできていません。次善の策として電力会社間で電気を融通しあう連系線を増強する方法があります。とりあえず今、北海道電力と東北電力を結ぶ線と東北電力と東京電力を結ぶ線の増強にとりかかっています。増強されれば、北海道で風の強い日に発電された風力発電の電気を東北や関東に送ることができるようになります。九州では太陽光発電が盛んで、九州電力がすべてを受け入れられない日もありますが、連系線が増強されると、中国や関西に送ることもできるようになります。

(写真は、北海道電力が建設した「新北本連系線」の設備。ここで本州から受け取る直流の電力を交流に変換する=北海道北斗市 )

数十年は伸びしろのある分野

 再エネにかかわる会社は大手電力会社だけではありません。太陽光にはたくさんの中小企業が参入して発電していますし、発電用のパネルは国内外の電機メーカーの領分です。風力発電は風車や発電機を作ったり設置したりするのに多くの会社がかかわります。万の単位の部品が必要で、風力発電はすそ野の広い産業になります。そのほかにも蓄電技術には電池メーカーが、連系線には電線メーカーなどが関係します。地球温暖化問題は簡単に解決することはありませんので、再エネは少なくともまだ数十年の間、伸びしろのある分野だと思います。再エネにかかわりたいと思って電力会社を志望するにしても、メーカーに就職して再エネ分野にたまたま配属されるにしても、きっとやりがいのある仕事になると思います。

(写真は、蓄電池とつながって発電する風車=北海道松前町)

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