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2019年04月10日

JR東が北海道を、JR西が四国を吸収合併もあり!?

運輸

 国鉄の分割民営化でJR7社が誕生して32年が経ちました。赤字で行き詰まっていた国鉄が、サービス向上や人減らし、不採算路線の廃止、鉄道事業以外への進出などで、生き返りました。2017年度のJR7社の経常利益の合計は連結ベースで1兆2690億円にも上ります。ただ、7社の業績には大きな格差があります。JR東海、JR東日本、JR西日本の本州3社はもうかっていますが、JR九州、JR四国、JR北海道の3島会社とJR貨物は楽ではありません。特にJR北海道とJR四国は深刻で、政府や自治体の支援がないと生きていけない状況です。地域のバランスのとれた発展には3島会社が元気になることが必要で、JRの再編も遠くないうちに正式に議論されるようになると思われます。JRを志望する人は、大きな格差があることとともに、再編の可能性があることも頭に入れておきましょう。

(写真は、大勢の人に見守られながらJR夕張駅を出発する夕張支線の最終列車=2019年3月31日、北海道夕張市)

売り上げで7倍から58倍の差

 国鉄は民営化に伴って7社に分割されました。2017年度で連結ベースの売り上げが最も多いのはJR東日本で2兆9501億円でした。次いでJR東海で1兆8220億円、3番目がJR西日本で1兆5004億円でした。残り4社との売り上げ格差は大きく、JR九州が4133億円、JR貨物が1945億円、JR北海道が1737億円、JR四国は513億円で、トップのJR東日本とは7倍から58倍という大差がついています。どれだけもうけているかを経常利益でみると、トップはJR東海で5835億円、次いでJR東日本、JR西日本が続きます。一方で、JR北海道は106億円の赤字、JR四国は11億円の黒字ですが、赤字と黒字をいったりきたりしている状態です。

 格差の原因は、人口問題です。首都圏を抱えるJR東日本や東京と大阪を結ぶ東海道新幹線を持つJR東海は、当然ながら多くの乗客を運びます。一方、JR北海道やJR四国はひとつの車両に数人しか乗っていないような路線を抱えています。赤字路線だから廃止するということは、公共性のある鉄道事業では簡単にはできません。もともとの地域割りに不公平さがあったと言わざるをえません。

3島会社でJR九州は健闘

 3島会社のなかでJR九州だけは比較的業績がよく、2016年には上場を果たしました。JR九州も赤字路線を抱えており鉄道事業は楽ではありませんが、鉄道以外の事業、特に駅ビル、ホテル、マンションなどの不動産事業で利益を出してカバーしています。JR九州の収入に占める鉄道事業の割合は4割を切っています。これはJR各社の中で最も低い数字です。鉄道事業でも豪華寝台列車「ななつ星」を成功させるなど、新しい取り組みが注目されています。

(写真は、JR浦上駅付近の長崎線を走るななつ星=長崎市)

本州3社は前向き投資が活発

 本州3社は、好調な業績を背景に前向きな投資を進めています。JR東海は自前の資金でリニア中央新幹線を建設しています。JR東日本は、東北新幹線などのスピードアップに取り組んだり羽田空港に早く行ける新路線を建設したりしています。JR西日本は2020年春から「ウエストエクスプレス 銀河」と名付けた長距離列車を走らせようと準備しています。

(写真は、5両編成では初めて公開されたリニア新幹線「L0系」=山梨県都留市)

JR内の吸収合併案も聞かれる

 JR7社の格差はこのままでは開く一方になりそうです。JR北海道やJR四国は経営努力だけではいかんともしがたい状況と言えます。JR東日本がJR北海道を、JR西日本がJR四国を吸収合併するといった案も政府内で聞かれるようになっています。これからどうなるか分かりませんが、どこかの段階で動きが出てくると考えられます。



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