ソフトバンクの提案承認 (6月26日朝日新聞朝刊)
米携帯電話3位スプリント・ネクステルが25日(日本時間26日未明)の臨時株主総会で、ソフトバンクによる買収を賛成多数で承認した。ソフトバンクは米企業との買収合戦に競り勝ち、携帯電話事業で世界3位に躍り出る。
米携帯電話3位スプリント・ネクステルが25日(日本時間26日未明)の臨時株主総会で、ソフトバンクによる買収を賛成多数で承認した。ソフトバンクは米企業との買収合戦に競り勝ち、携帯電話事業で世界3位に躍り出る。
携帯電話会社の規模拡大がよく話題になります。なぜでしょうか。企業や製品の仕組みを理解する上でも重要なテーマです。考えてみましょう。
回答の一つに、「ネットワーク外部性」(ネットワーク外部効果)という考え方があります。これは、「製品によっては、利用者数が増えることが、利用者自身の便利さにつながる」という経済学上の理論です。また、このような性質を持つ製品を「ネットワーク外部性がある」などといいます。
携帯電話は、このネットワーク外部性という性質を持っている典型的な製品です。ほかにもパソコンのOS(オペレーティングシステム)などが、これに該当します。
携帯電話で考えてみましょう。もし世の中に、携帯電話の利用者が1人しかいなければ、利用価値はゼロです。また、利用者が2人しかいなければ、通話相手になれるのは1人だけです。しかし、利用者が3人、4人……と増えていけば、便利さは急速に高まっていきます。1万人目の利用者ならば、通話できる相手は9999人もいます。
つまり、規模が大きくなればなるほど、便利さの増え方は、ぐっと大きくなる。これがネットワーク外部性です。ネットワークの規模が、そのまま利用者の便利さになるわけです。
だから、こうしたタイプの製品では、供給側である企業にとっても、需要側である利用者にとっても、規模拡大や市場独占を求めようとする力が強大なります。パソコンのOSも同じで、利用者が多いほど「使えるソフト製品が増える」「データを交換しやすい」などの利点が大きいわけです。
ただし、欠点にならないわけではありません。携帯電話ならば「利用者が増えすぎて、つながりにくくなる」など、利用者が増大によって価値が下がることもあるからです。
そこで今回の記事でも、ソフトバンクはこの巨額買収を通じて、つながりやすさや通信速度も高めていこうとしていることを伝えています。企業や製品の規模と利用者の便利さが、どのような関係にあるかについて、考えさせる記事です。
2024/11/21 更新
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