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2018年10月24日

ビジネスと社会貢献が両立!「フードシェア」って?

食品・飲料

 自動車や住宅などを貸したり借りたりして有効に使うシェアリングエコノミーが盛んになっています。今、盛り上がり始めているシェアエコノミーが「フードシェア」です。食品製造業や飲食店、食品小売店では、売れ残りなどで食べられるのに捨てざるをえない「食品ロス」が発生します。これをスマートフォンのアプリなどを使って、欲しい人に安く提供するというビジネスモデルです。朝日新聞デジタルで紹介しているのは6月にオープンした「ロスゼロ」という名前のサイトです。メーカーから作りすぎや規格外のお菓子を安く仕入れ、欲しい人に販売しています。こうしたサイトを運営する会社は、食品ロスを減らすということに加え、売り上げの一部をNPOなどに寄付しているところが多く、ビジネスだけでなく社会貢献も意識しています。食品ロスを減らすことには政府も本格的に取り組みはじめています。社会の追い風も受けて、今年はスタートアップ企業がたくさん生まれており、「食品ロス元年」と呼ばれるようになっています。

(写真は、売れ残った商品をサイトに載せる店員)

「輸入しては捨てている」日本

 農林水産省と環境省の推計によると、日本の食品ロスは企業と家庭で1年に約650万トン発生しています。国民1人あたり毎日茶碗一杯分のごはんを捨てている計算になります。これは世界全体の食料援助量を大きく上回る量です。日本は食料自給率が40%を切る食料輸入大国ですので、「輸入しては捨てている」ということになります。世界には食料不足の国がたくさんあり、これではいけないと政府は2030年度までに家庭からの廃棄量を2000年度の半分にする目標をたてています。

(写真は、大手スーパーから提供されたパンを仕分けるNPO法人のスタッフ=
左=ら)

店舗訪問型とネット通販型

 フードシェアのビジネスモデルには2つあります。店舗訪問型とネット通販型です。店舗訪問型のサイトは、飲食店とユーザーとの仲介役となります。今年4月にコークッキングがオープンしたサイト「TABETE(タベテ)」の場合、登録した飲食店がその日に余った料理を値段、個数、引き取り期限とともに掲示し、ユーザーはサイトで購入し、飲食店にとりにいきます。コークッキングは飲食店から販売手数料を受け取る仕組みです。ネット通販型は、作りすぎたものや規格外で通常ルートでは売れないものをサイトで安く販売するモデルです。「ロスゼロ」はこのタイプで、欲しい人はネット通販の要領で購入します。店舗訪問型は料理のようにできるだけ早く食べた方がいいものを扱い、ネット通販型はお菓子のように日持ちのするものを扱うのに適しています。

(写真は、「ロスゼロ」を運営する文美月社長)

欧米ですでに盛んに

 こうしたフードシェアは、欧米ですでに盛んになっています。欧州ではレストランで余った料理を安い値段で買えるアプリが国境を越えて広がっていて、アフリカからきた難民など貧困層の利用が増えているそうです。日本でも可能性を考えて大手商社なども参入し始めており、将来は海外展開も視野に入れています。

(写真は、安くなったパンを買う女性)

社会の「ニーズ」と「メリット」がそろう

 新しいビジネスには、社会の「ニーズ」と「メリット」が必要です。フードシェアにはおいしい物を安い値段で食べたいというニーズがありますし、食品ロスを減らすという社会のメリットもあります。まだ始まったばかりなので、どのくらい大きなビジネスになるかはわかりませんが、ニーズとメリットがそろっていますので、成長を期待したいと思います。ただ、食品ならではの注意も必要です。品質そのものが劣化していたり、食中毒が発生したりするとビジネスモデルそのものの信頼性が揺らいでしまいます。そこは何より気を配ってもらいたいと思います。

(写真は、「TABETE」のアプリの画面)

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