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2018年08月29日

世界で年1001億食!インスタントラーメンの進化と課題

食品・飲料

 60年前に日本で発明されたインスタントラーメンは今や世界の食品になりました。どんぶりに入れた麺にお湯をかけるだけの袋麺から始まり、スープが別になった袋麺、お湯以外何もいらないカップ麺が登場し、さらに最近では健康志向や本格志向の麺も発売され、多様な進化を遂げています。市場も日本からアジア、アメリカ、ヨーロッパなどへ広がりました。まだ普及していない地域もあり、世界市場での伸びは今後も期待されます。ただ、課題も出てきています。最も大きな市場であるアジアが飽和に近づいていることや捨てられたプラスチック容器が環境に悪い影響を与えているとされる問題などです。課題を克服して業界がさらに発展するかどうか、大事な時期に来ています。

(写真は、即席麺の生みの親、故・安藤百福氏)

世界でひとり13食食べている

 世界初とされるインスタントラーメン「チキンラーメン」が発売されたのが1958年です。日清食品の創業者である故安藤百福(あんどう・ももふく)さんが自宅裏庭の小屋で開発しました。どんぶりに麺を入れお湯を注げば2分で食べられる手軽さがうけ、大ヒットします。その後、さらに手軽なカップ麺が登場し、即席麺市場はどんどん大きくなっていきました。2017年に世界で消費された即席麺は1001億食、世界のひとりあたり年間13食食べている計算になります。消費量の最も多い国は中国で、インドネシア、日本、インド、ベトナムと続きます。ひとりあたりの消費量でみると、韓国、ベトナム、ネパールの順となり、アジアの国でよく食べられていることがわかります。日本ではひとりあたり年間45食食べている計算になっています。

(写真は、アフリカ・ケニアの学校で、即席麺の給食に行列をつくる子どもたち)

日清食品がトップで東洋水産が続く

 日本即席食品工業協会に加盟している即席麺製造会社は37社です。このうち売上高の大きい順に書くと、日清食品、東洋水産、サンヨー食品、明星食品、エースコックとなります。日清食品が業界全体の半分近いシェアをもち、東洋水産がその半分くらい、サンヨー食品、明星食品、エースコックはさらにその半分くらいというおおよその勢力分布です。明星食品は現在、日清食品の傘下に入っていますので、それを加えると日清食品のシェアは半分を超えることになります。

おいしさで袋麺が復活

 即席麺には、袋麺とカップ麺があります。1971年に日清食品が初のカップ麺である「カップヌードル」を発売してから、カップ麺が大きく成長、袋麺は勢いがなくなっていきました。しかし、最近は「マルちゃん正麺」「ラ王」など生麺にひけをとらない味の袋麺の発売が相次ぎ、復活しています。また、減塩とか低カロリーとか健康志向に合わせた即席麺も増えています。

アジアも飽和に近づいている?

 日本の食品業界全体に言えることですが、人口が減る社会になり、即席麺も国内の消費が伸びることは期待しにくくなっています。伸ばすのは、世界市場です。誕生100年となる40年後には新興国での消費が伸びて今の1.5倍に拡大するといわれます。ただ少し心配なのは、アジア市場の伸びが鈍っていることです。アジアの国々は豊かになる一方で少子高齢化が進んでいます。世界で消費量の多い中国、インドネシアは消費量が減り始めています。アジアでもこれ以上は伸びが期待しにくくなっているという見方も出ています。

(写真は、中国・上海市内の即席麺売り場)

生分解性プラスチックは普及するか

 もうひとつの課題が、廃プラスチック問題です。プラスチックごみが海に流れて細かく砕かれ、魚が食べるなどして海の生態系がおかしくなるという問題がクローズアップされています。即席麺業界はプラスチック容器をたくさん使っているので、容器をどうするかが問題になっています。土中や海中の微生物によって分解される「生分解性プラスチック」にすれば解決しますが、値段が高くなります。普及は簡単ではありません。

10月からの朝ドラは即席麺誕生の物語

 即席麺は就活生にもなじみが深いものでしょう。しかも、単なる食品ではなく、日本のアイデアと技術によって進化し続けている食品です。10月からのNHKの朝の連続ドラマ「まんぷく」は安藤百福さんと妻仁子(まさこ)さんがモデルになった作品です。朝ドラになるくらい偉大な発明だったということです。即席麺はまだまだ進化でき、市場もまだまだ広がると思う人にとって、その製造会社は、やりがいのある職場になると思います。

(写真は、NHK朝ドラ「まんぷく」の記者会見)

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