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2013年06月26日

電池が注目されるワケ

家電・総合電機

次世代EV電池 開発へ提携 (6月21日朝日新聞朝刊)

 自動車部品世界最大手の独ボッシュ、蓄電池大手のGSユアサ三菱商事の3社は20日、電気自動車(EV)などに搭載する高性能リチウムイオン電池の開発で提携すると発表した。来年1月に独シュツットガルトに合弁会社を設け、EVの走行距離を大きく伸ばす大容量の次世代電池の研究開発を共同で進める。

【目のつけどころ】 リチウムイオン電池

 電気自動車のニュースでは、しばしば電池が注目されます。なぜでしょうか。
 それは、1台あたり1万点以上もの部品を使って製造される電気自動車の中で、最後まで量産化が難しかったのが、この電池だからです。つまり、電気自動車を製品にする際に、走行距離や耐久性といった性能の点でも、また製造コストや安全性などの点でも、いちばんのネックとなってきたのが電池でした。
 GSユアサは、世界で初めて、この電気自動車用の大型リチウムイオン電池の量産に成功したメーカーです。もちろんいま、他社も猛烈に追い上げています。だからこのニュースは、注目度が高いのです。
 電池の問題は、パソコンなどの電気製品でも重要です。そこでこの機会に「電池の種類」について整理しておきましょう。
 電池には、1回しか使えないタイプと、充電して何度も使えるタイプがあります。「使い切りタイプ」は一次電池とも呼ばれ、乾電池(アルカリ電池やマンガン電池など)やボタン電池(酸化銀電池など)があります。「繰り返しタイプ」は充電池や二次電池とも呼ばれ、ニカド電池やニッケル水素電池などがあります。
 この二次電池のなかで、リチウムイオン電池には、次のような特徴があります。
・小型で軽量
・自己放電が少ないので長持ちする
・途中で充電すると容量が減る「メモリー効果」という現象が起きない
 これは自動車にとって最適です。小さくて軽ければ車体重量を減らせるので走行距離が伸びますし、メモリー効果がなければ走行途中で追加充電もできるわけです。
 ところで、今回のニュースに登場する三菱商事は、電池製造にどう関わるのでしょうか。三菱商事はこう言っています。
「商社として培った世界的なネットワークを活かし、リチウム資源や材料をカバーして、新会社に貢献します」
 日本の「モノづくり」を支えている商社。その仕事の魅力と誇りが表れている言葉ですね。

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