川重、社長ら3人解任 (6月14日朝日新聞朝刊)
川崎重工業は13日、臨時取締役会を開き、長谷川聡社長(65)ら3役員を同日付で解任した。また、これまで正式に認めていなかった三井造船との経営統合交渉について、初めて事実関係を認めたうえで「交渉を打ち切る」と表明した。
川崎重工業は13日、臨時取締役会を開き、長谷川聡社長(65)ら3役員を同日付で解任した。また、これまで正式に認めていなかった三井造船との経営統合交渉について、初めて事実関係を認めたうえで「交渉を打ち切る」と表明した。
新聞の1面トップに登場した大ニュース。話題の大きさはもちろんですが、これは「メディア発のニュースを、どう読み解くか」という点でも重要でした。つまり、「メディアリテラシー」(メディアを活用する能力)まで問われた話題です。
どういうことでしょうか。経緯が、この日の3面の記事に整理されています。
川崎重工業と三井造船の経営統合交渉は、日本経済新聞が4月22日に最初に報じました。いわゆるスクープ(特ダネ)です。朝日新聞などが即座に追いかけたほか、テレビなども報じました。ところが当時、企業側は経営統合交渉の事実を否定していたのです。
当事者が否定をしているのに、新聞が報じる――。読者にはやや分かりにくい状況でした。なので週刊誌などの中には、ニュースを「誤報ではないか」と指摘するものも。経済専門誌「週刊ダイヤモンド」(5月25日号)などがそうです。
では結果はどうだったでしょうか。その「答え」が、まさにこの日の記事です。川崎重工業の取締役会は、経営統合に積極的だった社長ら3人を解任しました。つまり、交渉を否定していた背景に、社内の紛争があったわけです。
いま、4月22日の朝日新聞記事を読み返すと、会社が否定する内容をどうして記事にしたのかの理由が、きちんと書かれていることも分かります。取材した記者は、取引先の銀行などで裏付けを取って記事にしたことが、さらりと明かされているのです。
これを読み解けるかどうかこそ、メディアリテラシー。経営統合は、どの企業にとっても極めて微妙な問題です。まして市場が縮小傾向にある造船業界にとっては、なおさら。あなたのニュース読解力を、ぜひ業界研究に生かしてください。
2024/12/12 更新
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