東京ディズニーランド(TDL)で年間パスポートを持った来場者に顔認証システムが導入されます。よりスムーズに入場できるようになることや不正な入場ができにくくなることなどを狙っています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)はすでに年間パスの来場者向けに顔認証を導入しています。顔認証システムは精度が上がり、使われ方が広がっています。昔から「顔パス」とか「顔役」とか「顔に免じて」といった言葉がありますが、顔で入退場できたり、顔で重要人物をより分けたり、顔で保証したりといったことが現実のことになってきています。簡単に本人確認ができるシステムの需要は大きいはずで、幅広い業界にビジネスチャンスをもたらしそうです。
(写真は、USJで導入されている顔認証システム=2007年9月19日撮影)
羽田空港では10月に導入
顔認証の使われ方のうち入門編と言えるのが、入退場、入退室、入出国といった許可の必要な場所への出入りです。テーマパークだけでなく、マンションやオフィスビルの入退室ですでに使われています。羽田空港では今年10月から入出国の一部で顔認証システムを導入しました。成田空港でも来年には導入することにしていて、意外に早く世界中の空港で顔認証システムが活躍しそうです。
(写真は、羽田空港の顔認証ゲート。ハーフミラー内のカメラで撮影された画像とパスポートの画像を照合して本人チェックをする=2017年10月13日撮影)
指紋や虹彩以上に幅広い
人の体を使った認証技術にはいろいろあり、指紋や虹彩(目の瞳孔の周り薄いドーナツ状の部分)などもよく使われています。そのパターンがひとりひとり違い、ほぼ一生変わらないため、高い精度で本人確認ができます。顔認証も人工知能による学習が急速に進み、精度が高まっています。本人確認だけでなく、男女や年齢もほぼ正確に判別できるといいます。しかも、本人の協力がなくてもカメラで撮影すれば使えるため、指紋や虹彩以上に幅広い使われ方が考えられています。
多岐にわたる業界が関わる
さらに進むと、最終的には本人確認がいらない社会が考えられます。本人確認を必要とする場所にはカメラが設置されていて自動的に本人確認ができるようにすればいいからです。たとえば店で支払いをせずに品物を持って出ても、自動的に銀行口座から代金が引き落とされるといったことも可能になります。印鑑証明はもちろん、クレジットカードやキャッシュカード、鉄道カードといったカード類もいらなくなるかもしれません。そこまでいくには本人の同意などいくつものハードルがありそうですが、そうした社会に近づいていくことは間違いありません。認証の世界には、電機業界だけでなく、通信、流通、コンサルティングなど多岐にわたる業界が関わります。