ビールサーバーの状況をネットで把握
うまい生ビールの決め手のひとつは、ジョッキに注ぐビールサーバー(ディスペンサー)をこまめに洗浄しておくことです。キリンとNTTデータは、飲料店に置かれるサーバーにセンサーと通信機を取り付け、洗浄具合やビール残量をリアルタイムに把握できるシステムの実証実験を始めました。キリンのニュースリリースは「消費者との接点である飲食店にIoTを適用することで、よりおいしい生ビールの提供を目指していきます」とうたっています。
(2017年4月11日朝日新聞デジタル)
(写真は、実験に使うのと同じタイプの生ビールサーバー。右側のホースにセンサーをつけてデータを収集します=キリンビール提供)
ビールとネット、うまく結びつく?
IoT(Internet of Thing)とは、あらゆるモノがネットにつながって便利になっていく技術です。今、国内外のさまざまな企業でIoTの新しいアイデアが生まれています。企業同士が協力してビジネスにつなげようとするケースも多くなっています。
NTTデータは今年3月、キリンホールディングス(HD)の情報システムを担う子会社キリンビジネスシステムの株の一部を譲り受けて資本業務提携をしたばかりでした。はたしてビールをネットに結びつけることで、どんな成果が生まれるでしょう。5月末まで実験をし、実用化の判断をするそうです。
(図版は、2015年4月4日朝日新聞朝刊掲載のIoTの説明です)
うまいビールに欠かせない“洗浄”
キリンの業務用生ビール「キリン樽詰生」のサイトでは、ビールが濁ったり味がおかしかったりする場合、ビールの経路(流れ道)の汚れ(微生物、ビール成分の付着物など)が原因と考えられるので、水通しやスポンジによる洗浄をすすめています。「うまいビール」にサーバーの管理が欠かせないことがわかりますね。キリンは、この新システムによって、「これまで把握が難しかった飲食店でのビール消費量やビールディスペンサー洗浄状況をリアルタイムに情報収集できるほか、得られたデータの解析を行うことで、それぞれのビールディスペンサーの状況に応じた営業サポート体制の構築と品質管理の向上を図っていきます」と言います。
IoTで、営業を効率化・迅速化
キリンはこれまでも樽詰生の営業サポート体制のキメ細かさを誇ってきました。そのために全国に専任スタッフのマーチャンダイザー、マーチャンダイジング・クルーを配置。「1件1件お店を訪問し、徹底した品質管理をサポートしています」(キリン樽生詰サイト)とのことです。マーチャンダイザーは契約社員、クルーはパート社員です。いわば人海戦術でしょうか。もちろんface to faceの営業は大切ですが、IoTの技術革新による仕事の効率化も大切でしょう。それに、お店の商品をリアルタイムで把握していれば、なにか問題があってもすぐ駆けつけられ、サポートの迅速化にもつながります。
それぞれの企業で、どんなIoTの取り組みができそうか、研究してみてはいかがでしょうか?