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2017年03月24日

イトーヨーカ堂、ハトのマーク復活でブランド力アップ?

流通

おなじみのマークでブランド力強化?

 イトーヨーカ堂が、店の大型看板の「ハトのマーク」(図左)を復活させるそうです。ハトのマークは1972年から使っていましたが、2005年、セブン&アイ・ホールディングス(HD)が発足した際に、7とiを組み合わせたHDの共通ロゴ(図右)に変えられていました。お客さんになじみの深いマークに戻し、ブランド力を強化しようとしています。
(2017年3月21日朝日新聞デジタル)

ハトに込められた?「復活の思い」

 コンビニ最大手のセブン-イレブンは、もともと総合スーパーのイトーヨーカ堂を母体にして誕生しましたが、いまではHDの最大の稼ぎ頭になっています。2017年2月期(第3四半期)の業績予想でセブンは営業利益が1871億円なのに対し、ヨーカ堂のそれは43億円の赤字だとみています。昔のハトのマークを復活させ、ヨーカ堂自体の「復活に賭ける」との思いも込められているのでしょう。
(写真は、イトーヨーカ堂の店舗)

鶴丸を復活させ立ち直ったJAL

 この手は、2010年に会社更生法を申請した日本航空(JAL)が使っています。翌2011年に約3年ぶりに、赤い鶴の「鶴丸」マークを復活させました。「鶴丸」は、JALの国際線が開設されジェット機時代が到来する1959年から“飛んで”いましたが、2003年のJAS(日本エアシステム)との経営統合の機会に、他のマークに変えられました。その後、業績が低迷し会社が傾いたのですが、政府の後押しもあり、奇跡的な回復を遂げます。「鶴丸」は経営再建の旗じるしとして掲げられたのです。
(写真は、2011年鶴丸マーク復活時に報道陣に公開されたJALのジェット機)

実は社長も交代していたヨーカ堂

 翻って、イトーヨーカ堂です。じつは、同社は今年1月、社長が亀井淳氏から三枝富博氏(写真)に代わったばかりです。亀井氏は2006~2014年まで同社社長を務め、後任は戸井和久氏でしたが、2016年に更迭(こうてつ)され、亀井氏が再度、登板していました。短期間のトップ交代は業績低迷と関係があるのでしょう。紆余曲折(うよきょくせつ)の末に、三枝社長が就任したわけです。三枝新社長は朝日新聞のインタビューに、本部による一括仕入れ方式では利益は出せないと分析し、「今は、求められる商品やサービスが地域ごとに違う。従来の考え方では対応できない」と語っています(「イトーヨーカ堂新社長『成功体験引きずり業績低迷』」3月18日朝日新聞デジタル)。ヨーカ堂のハトは、JALの鶴丸のように、はたして再び元気に羽ばたけるでしょうか。マークやロゴに込められる企業の思いを知るのも、一つの業界ウォッチングです。

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