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2017年02月17日

リストラを進める創業100年のニコン

精密機器・電子機器

希望退職に従業員の1割が応募

 光学精密機メーカーとして知られるニコンの希望退職プログラムに1143人が応募しました。国内従業員の約1割にのぼります。募集は1000人でしたが、1割以上も上回っていました。退職金の割り増しなどで2017年3月期に約167億円の特別損失の計上を見込んでいます。そうまでしてリストラを進めなければならない「お家の事情」があります。

(2017年2月13日朝日新聞デジタル)

膨らむ構造改革関連費用

 希望退職の計画は、昨年11月に発表されていました(「ニコン、国内1千人削減へ 半導体装置・デジカメ不振で」朝日新聞デジタル2016年11月8日)。

 赤字が続く半導体製造装置や、市場が縮小するデジタル部門を縮小するためのリストラで、そのための構造改革関連費用として2017年3月期に480億円を見込んでいましたが、今度の予想では50億円増の530億円に膨らんでいます。

半導体露光装置、デジタルカメラで苦戦

 ニコンは今年創業100年を迎えます。退職プログラムを見ると、対象は「40歳以上、勤続5年以上」とあります。ベテランの従業員が対象です。「技術のニコン」としてはつらいところでしょう。カメラや望遠鏡で培った光学の技術を生かし、半導体の回路を基盤に焼き付ける半導体露光装置で、1990年代は世界シェアが約50%と世界一でした。その後技術開発競争でオランダのASMLに負け、10%未満に落ち込んでいます。

 一方、売り上げの約半分を占めるデジタルカメラも、最近は市場自体が毎年10%超の縮小が続いているそうです。

(写真は、1988年に発売され、名機と呼ばれたニコンの一眼レフカメラ「F4」。高い技術力はデジタルカメラにも引き継がれ、多くのファンがいます)

高級デジカメ、異例の販売中止…業績下方修正へ

 逆風はまだ続いています。昨年からのびのびになっていた高級コンパクトデジカメ「DLシリーズ」の発売中止を発表したのです(2月13日)。ニュースリリースは、開発費の増加、市場の原則に伴う販売想定数量の下落などのため「収益性重視の観点から」発売中止を決定したとしています。いったん発表したカメラの発売を中止するのは業界でも異例です。

 期待していたアクションカメラ(衣服や乗り物に装着できるアウトドア向けカメラ)の不振などもあり、ニコンは8000億円と予想していた2017年3月期の通期業績見通しを下方修正し、7500億円としました。

 100年続いたメーカーといえども、市場の激変に対応するのは難しいのですね。老舗や名門だからといって、それだけでは安泰とはいえないことを業界研究で知ってください。
 
 苦境にある企業を志望するときには、こうしたニュースで現状を調べたうえで、「それでも受ける理由」をしっかり語れれば、きっと響きます。

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