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2017年02月21日

地銀は「安泰」ではなく「変化」の時代

銀行・証券・保険

大手銀傘下の関西地銀3行が統合検討 親会社の枠超え

 地方銀行の統合、再編が進んでいます。地方は人口が減って資金需要も減っています。加えて、昨年からのマイナス金利政策で、だぶついた資金の運用益が小さくなりました。かといって海外に進出したり新規事業を大きく育てたりする体力はありません。先細りがはっきりしてきたため、統合して規模を大きくしたり効率化したりして生き残ろうという戦略です。地銀を目指す人は地方での安定を求めていることがありますが、これからは安定より変化の時代だと認識しましょう。

(2017年2月20日朝日新聞デジタル)

統合すれば全国6位に

 統合を検討していることが明らかになったのは、三井住友フィナンシャルグループの傘下にある関西アーバン銀行とみなと銀行、りそなホールディングスの傘下にある近畿大阪銀行の関西の3地銀。統合が実現すれば、資産規模11兆円程度になり、関西ではトップ、全国でも6位の地銀となります。

(写真は関西アーバン銀行の本店です)

大手系列でも統合する時代

 地銀には、大手銀行の系列に入っている地銀と、独立している地銀の二つの種類があります。今回の3銀行はいずれも大手系列で、こうした傘下にいる地銀でも系列を超えて統合を検討せざるをえない時代に入っていることを示しています。

ここ数年、地銀再編が加速

 地銀の再編は、ここ数年続いています。2012年には、きらやか銀行(山形)と仙台銀行が統合して、じもとホールディングスになりました。2015年には鹿児島銀行と肥後銀行(熊本)が統合して九州フィナンシャルグループに。
 2016年には横浜銀行と東日本銀行が統合してコンコルディアフィナンシャルグループになったほか、東京TYフィナンシャルグループに新銀行東京が合流、常陽銀行(茨城)と足利ホールディングス(栃木)が統合してめぶきフィナンシャルグループに、トモニホールディングス(徳島、香川)に大正銀行(大阪)が合流するなどしています。

(写真はみなと銀行の本店です)

金融危機の再燃を警戒

 最近は、監督官庁の金融庁が地銀に対して生き残り策を立てるよう求める姿勢が強まっています。人口減とマイナス金利でこのままでは破綻する銀行すら出かねないとみているからです。日本の金融界は1990年代後半、バブル崩壊の影響を受けて破綻が相次ぎました。金融危機が経済や国民生活に与えた影響は大きく、「失われた20年」の最大の原因とされています。その失敗を繰り返さないために、早めの再編を促しているのです。

ビジネスモデル自体の変化も

 各地方では、地方銀行は人気のある就職先です。かつては、就職が決まると「これで安泰だね」などと声をかけられたものです。今はそんな意識は薄らいだとは思いますが、親の世代以上にはまだ残っていそうです。
 人口減やマイナス金利など、かつての常識が通用しなくなっています。「ビジネスモデル自体を変えてやる」というくらいの気持ちで挑戦する業界になりつつある、と思ってください。

(写真は近畿大阪銀行の本店です)

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