ハウステンボス、純利益65%減 16年9月期決算
長崎県のテーマパーク、ハウステンボスの2016年9月期決算(単体)が発表されました。売上高、純利益とも減りました。同社は、熊本地震の影響で入場者数が落ち込んだことが主な理由としていますが、ここ5年で入場者数が倍以上になる急成長をしてきただけに、伸びが一服してきたという見方もあります。
テーマパーク業界では、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が入園者を伸ばしていますが、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーは増えていません。来年4月には名古屋に「レゴランド・ジャパン」が開業します。業界の競争は一段と激しくなりそうです。
(2016年11月28日朝日新聞デジタル)
(写真は、冬のイルミネーションが輝くハウステンボスです)
踊り場にさしかかったか
ハウステンボスは、2010年に旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が再建に乗り出し、業績を急回復させてきました。新しいアトラクションやイベントを次々に投入したうえ、急増した外国人訪日客の取り込みにも成功しました。
ただ、熊本地震の影響で今年4~6月期は入場者が約20%減りました。その後、入場者は前年並みに戻りつつあるため、地震の影響はほぼ終わったと同社では見ています。ただ、テーマパークが何年も入場者を増やし続けるのは簡単なことではなく、外国人観光客の伸びも今後鈍化していくと予想されることから、業績は踊り場にさしかかったという見方も否定できません。
USJの勢いは続くか
日本のテーマパークは、東京ディズニーリゾートとUSJが2強で、ハウステンボスは大きく引き離された3番手という状況です。2強にも変化が出ています。勢いがあるのはUSJで、昨年の入場者数は初めてディズニーシーを上回りました。
ディズニーリゾート全体の入場者数は年間3000万人を超え、まだUSJの倍以上ありますが、ここ2年ほどやや減り気味です。2ケタの伸びを続けるUSJとの差は縮まりつつあります。ただ、このまま差が縮まり続けるかというと、そうとも言えません。USJも5年ほど前まで低迷しており、テーマパークの浮沈の予測は難しいのです。
(写真は、USJ内のクリスマスツリーです)
社員になれば厳しい現実も
新しい動きとしては、来年4月のレゴランド・ジャパン開業があります。レゴランドは、東京と大阪に屋内型施設を開いていますが、ずっと規模の大きい屋外型施設は世界で8か所目、日本では初めてです。9.3ヘクタールの敷地に40以上のアトラクションを設け、レゴブロックで再現した建物もつくります。開業当初の集客目標は200万人ですから、ディズニーリゾートの15分の1、USJの7分の1、ハウステンボスの7割になります。
国会では、カジノなどの統合型リゾート(IR)の整備を促すカジノ解禁法案が審議入りしました。カジノはテーマパークに併設されることもありますので、カジノ法案が成立すれば、新たなテーマパークが計画されるかもしれません。
テーマパーク関連の仕事は夢があって楽しそうです。ただ、常にリニューアルや話題づくりを考えていないと、リピーターがいなくなってしまう厳しい世界でもあります。社員になれば、客として楽しんだ「夢の世界」とは違う現実があるということも肝に銘じておきましょう。
(写真は、名古屋にできる「レゴランド・ジャパン」の完成予想図です)