日本でも「再生可能エネルギー100%」をうたう電気が買えるようになりそうです。長野県の新電力が、「グリーン電力証書」という制度を活用します。家庭用の電力は4月に自由化されましたが、思ったほど伸びていません。環境を売りにする新電力の登場で、活気づく可能性があります。(2016年9月27日朝日新聞朝刊)
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略歴
新電力への切り替えはまだ2%
家庭用電力が自由化されたときには、ふたつのメリットが言われました。ひとつは、競争が生まれることによって値段が下がること。もうひとつは、自分の好みによって電源が選べることです。このふたつのメリットとも十分には実現できていません。そのため、既存の電力会社から新電力に契約を切り替えた世帯は2%程度にとどまっています。
(写真は、「再生エネ100%」の電気で商品を照らすラッシュ池袋駅前店)
送電線で混じり合う電気
特に「自分の好みによって電源を選べる」というのは、今の仕組みでは簡単ではありません。既存の送電線網には、火力、原子力、水力、太陽光、風力など様々な電源から発電された電気が混じり合っているからです。距離の近い電源から直接送電してもらえば混じりけなしの電気を使えますが、ほとんどの家庭はそうした環境にありません。また、再生可能エネルギーの主力は太陽光ですが、太陽光は夜間には発電できませんので、夜間の需要を満たすためにも再生可能エネルギー以外の電気に頼らざるを得ないわけです。
どういう仕組みなの?
ではどうやって「再生可能エネルギー100%」をうたえる新電力ができたのでしょう。新電力のネクストエナジー・アンド・リソース(長野県駒ケ根市)が始めたのは、グリーンエネルギー認証センターにお墨付きをもらって、証書を発行するやり方です。
もう少し詳しく説明すると、ネクスト社は太陽光発電所、風力発電所、水力発電所から直接電気を買っています。それでも足りない分は火力や原子力など再生可能エネルギーでない電気でまかなっています。この再生可能エネルギーでない電気を調達する場合には、その量に見合った金額の証書をグリーンエネルギー認証センターから買います。この代金は再生エネルギーの発電所の収入に回されます。つまり、再生エネルギーでない電気の分も、結果として再生エネルギーを応援することになるので、「再生エネルギー100%」とうたうことができるというわけです。もちろん、証書代の分だけコストがかさみ、電気代は高くなります。
経済合理性だけでない企業が21世紀型
経済合理性から言えば、同じ質なら値段が安いものが売れるはずです。ただ、エコロジーのように生き方や信念と関係するものが介在すれば、経済合理性だけでは割り切れなくなります。「原発でできた電気はイヤ」と思えば、少々高くても再生可能エネルギー100%を選ぶ人はいるはずです。こうした生き方と整合性をとった消費、つまり経済合理性だけで割り切れない消費が徐々に増えています。そこまで考慮している企業こそ21世紀を生き抜く企業だと思います。
2023/03/29 更新
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